第二十一章 霊媒師 ……もいる、黄泉の国の話

229/285
前へ
/2550ページ
次へ
そうなのだ。 本当にキレイな虹色だけど、色が7つもあるコトにどうも気後れしてしまう。 ウチは鏡とにらめっこ。 横を向いたり前を向いたり大忙しだ。 そんなウチにタッキーさんは『後ろ姿も視たらいい』と手鏡を貸してくれた。 さっそく合わせて視てみると…… 全体的に優しい感じのペールトーン。 髪を彩る虹色は、つむじから毛先に向かって伸びている。 各色の境界線はハッキリとはしてなくて、水彩絵具が滲むような曖昧さ。 指ですくってサラサラ溢せば、虹が混ざって7色以外の新たな色が生まれるの。 うわぁ……キレイだなぁ…… でも……髪が動けば動く程にカラフルで、7色どころの騒ぎじゃない。 まるで100色はあるカラーパレット。 ウ、ウチにはやっぱり派手みたい。 多彩な色に怯むウチ。 タッキーさんは、 『んまっ! このくらいの色で恥ずかしがるなんて! んほー! まだまだコドモね、でもいいわ。他にも候補はあるんだから! 次、いっくわよー!』 そう言って、ペチンと足を鳴らしたの。 ピカーーッ! & まぶしっ! & 白雪さんのはしゃぐ声!  そして仕上がったのは…… 『今度のテーマは【オーシャンブルー】よん!』 ん? オーシャン? てコトは海?  またもやウチは、ワクワク半分、ドキドキ半分。 そーっとゆっくり目を開けた。 『えぇ!?…………うそぉ!』 目に飛び込んだ新たな髪に、思わず固まり鏡に釘付け。 ウチの髪はテーマの通り、緑がかった青色の、南の島の海色になっていた。 で、でも、それだけじゃない。 この髪は……髪は……んっと……髪で……いいんだよね? ウチはそれを確かめる為、両手で髪を、オーシャンな髪を、おそるおそるさわったみた。 …… ………… ………………ちゃぽん、 『つめた……えっ……なんだろこの感触……んと…………ハッ! きゃー! なにこれー! さわったら ”ちゃぽん” っていった! 手が濡れた! ひんやりしてた! こ、これ……本物のお水だよ! すごーーーい! 髪が海になっちゃったーーー!』 驚いた……だって髪が海なんだ。 ストレートの腰まで伸びる髪の形は変わらない。 だけど毛じゃなくてお水なの。 色が深くて透明じゃないから、頭の形は視えないけど、遠目でみたら青い髪だけど、でもでもやっぱり海なんだ。 きゃー! すごくキレーーイ!
/2550ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2374人が本棚に入れています
本棚に追加