第二十一章 霊媒師 ……もいる、黄泉の国の話

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アクアマリンとエメラルドが混ざったみたいな深い色。 頭を左右に動かすと、雫が飛んで、それが宝石みたいに視えるんだ。 キレイ……すんごくキレイ……だ、だけど、ウチには斬新すぎるよ。 それに手入れも難しそう。 お風呂の時とかどうするの? シャンプーなんかはどうするの? タッキーさんに聞いてみると、シャンプーは泡じゃなく、珊瑚の欠片を髪の中に落してあげれば、あとは勝手に綺麗になるの、と教えてくれた(それはちょっと面白そう)。 『マジョリカ、髪の候補はまだあるの。とにかくぜんぶ試しましょ!』 ノリノリのタッキーさん。 足をペチペチ鳴らすたんびにウチの髪も変化した。 海の次は水繋がりか、氷の髪だった。 それは海より冷たくて(当たり前か)、頭をふると、色んな形の結晶が煌めきながらふわふわ落ちる。 幻想的で神秘的、なんて素敵な髪だろう……(うっとり) 他にもたくさん。 夕焼け空のグラデーションに、カールの先に小さなお花が咲いたもの、オパールの揺らめきに、一見ただのブロンドだけど揺れるたびハープの音色が響く髪、そしてなぜが茶色の髪に同じ茶色の猫耳と尻尾がセットになったのもあった(白雪さんが大騒ぎでウチを抱っこして離さなかった)。 『どう? 気に入ったのはあったかしら』 タッキーさんにこう聞かれ、ウチは答えに困ってしまった。 確かにどれもキレイで可愛い、……なんだけど、今までに視たコトのない華やかさに気後れしてしまう。 『あ、あの、どれも素敵でした。で、でも、ウチには華やかすぎるんじゃないかなぁって……』 せっかくウチの為にタッキーさんが頑張ってくれてるのに、こんなコトを言うのは気が引けた。 でも、でも、華やかすぎて斬新で、平凡な高校生にはどれもこれもハードルが高いのだ。 元々髪は伸ばしただけのシンプルで、その髪も、ママが毛先を切ってたの。 おしゃれなサロンもタッキーさんのが初めてだ。 2021.9.10挿絵追加しました。 969d4128-642f-41c5-82a8-33338618d361
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