第二十一章 霊媒師 ……もいる、黄泉の国の話

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それを聞いてた白雪さんは、 『だったら猫耳ヘアーに決めればいいわ。耳と尻尾以外は普通のブラウンストレートだもの。大丈夫、華やかすぎるってコトはないと思うの。マジョリカさんとっても似合ってた、とっても可愛かった、私、とーっても気に入ったわ!』 と熱烈プッシュを始めたの。 え……! そ、そんなに? そんなに熱く推すくらい気に入ったの? ど、どうしよう、でも、あれはハロウィンみたいじゃないかな? 仮装チックな感じがしない?(だって耳……それに尻尾もついてるよ) だけどな、白雪さんが喜ぶんならウチも嬉しいからな、どうしようかな、もういっそ猫耳にしようかな……悩むぅ。 なんて、考え込んでるウチを視て、今度はタッキーさんがこう言った。 『いろいろ試したけど、マジョリカにとって ”これだわぁ!” というのが無いのね? ああ、待って、チガウのよ、いいの、それでいいの。美はね妥協しちゃ駄目なのよ。自分が本当に気に入ったものでなければファビュラスになれない。さっき……華やかなものに気後れしてしまうと言ったわね。困った子、どれも本当に似合ってるというのに』 タッキーさんはここで言葉を止めた。 そして腰をくにゃっと前に屈めて、ウチを覗き込むと…… 『ねぇマジョリカは分かってる? 自分がどれほど美しいかというコトを。……どうもマジョリカは美しくある事を恐れているように視えるわ。もっと自信を持ちなさい。胸を張って前を向くの。顔を上げてこの広い宇宙(そら)を視れば自然と自信が、……自信が…………ん……? 宇宙(そら)……? 宇宙(そら)か……ん……んん? ハッ!(ピッコーン!!)ああ、そうか! 分かったわ! マジョリカに一番合うのはこの宇宙(そら)なんだわぁ!』  最後の方は叫んでた。 大興奮の美のカリスマは何度も何度も足を鳴らして、眩いばかりのピンクの光を連発させた。
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