第二十一章 霊媒師 ……もいる、黄泉の国の話

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ピンクのフラッシュが連続で焚かれたせいだ。 辺りに強い光が広がって、一瞬、視える範囲の全ての輪郭が消え去った。 眩しくて目が開けられない。 聴覚だけが頼りの今、ウチの耳には『んほー!』の声が繰り返し聞こえていた____ ____それからまたまた少しして。 『マジョリカ、もう目を開けても大丈夫よ。髪も綺麗に仕上がったから、鏡で視てごらんなさい』 頭の上からタッキーさんの声がした。 目を閉じたまま顔を上げると、さっきまで感じてた瞼に透ける光がない。 これならダイジョブそうだ……と、ウチはゆっくり目を開けた。 タッキーさんは ”髪が出来た” と言ってたなぁ。 嬉しい、次はどんな髪だろう……? 早く視たいよ、歩いて数歩の鏡の前までウチはドキドキワクワクだ。 造ってもらった髪型は、どれもウチには華やかだけど、素敵であるのは間違いない。 だから次も楽しみなんだ。 …… ………… ……………… 数歩で到着、バラと小鳥のドレッサー。 前に立てば鏡に映るウチの…………髪、 『わぁ…………』 言葉が出なかった。 代わり、顔を上げて宇宙(そら)を視た。 そこにあるのは数えきれない星々で、キラキラ輝き煌めいてるの。 『……はぁ……』 あまりの美しさにため息が漏れた。 そしてまた鏡を視る……と、そこに映るウチの髪にも、宇宙(そら)とおんなじ、数えきれない星々がキラキラ輝き煌めいていた。 『……はぁ……』 あ……ため息2回目。 ママは言ってた、ため息つくと幸せが逃げるんだって。 でもでも、このため息ならダイジョブ。 だってこれは綺麗なものを視た時の、嬉しい時のため息だもの。 鏡の前にかじりつきウチがうっとりしていると、後ろからタッキーさんが映り込み…… 『どう? この髪は気に入った?』 コク、……コクコクコクコクコクコクコクコク! ウチは何度も何度も激しく頷く。 それを視たタッキーさんは、大きな声で笑ったの。 『やぁだ、なぁにぃ? いくらなんでも頷き過ぎよぉ。だけど……嬉しいわ。私が造ったものを好きになってくれるだなんて感無量よ。んほー! 決まりね、マジョリカの髪はこれでいきましょう! タッキーのファビュラス! テーマは【星空に包まれて!】よん!』
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