第二十一章 霊媒師 ……もいる、黄泉の国の話

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____マジョリカ、おい、 ん……誰……? パパ……? 眠いよ……もう少し寝かせて…… ____おい、起きろ、 ん……だからね、もう少し……(むにゃ……) ____朝だぞ、起きろ、 ……………………やだ、(すや……) …… ………… ……………… 『なんだこりゃあ、しょうがねぇ小娘だな』 ん……パパ……どうしたの? いつもとチガウ、言葉遣いがワルイよ、 それじゃあママに叱られ…………る……(すや……) 『チッ! 仕方がねぇ、叩き起こすか。(すぅぅぅぅぅぅぅ……)マジョリカー! 起きろー! 朝だぞー!』 『うわぁっ! な、なに!?』 寝ていたところに不意打ちの大きな声、ウチは思わず飛び起きた。 な、な、な、何事?(ドキドキドキドキ) パパ、どうしたの、……って……あ、チガウか……そうだ……寝惚けてるな、今の声はパパじゃない。 パパは生きてて現世にいるから、黄泉の国にはいないんだ。 『オ……オハヨゴザイマス』 飛び起きた勢いで。 ベッドの上に正座で座り、ウチはボソボソと挨拶をした。 『やっと起きたか。手のかかる小娘だな』 えっと……その言い方は、ウチ、起こされても起きなかった感じかな。 そ、そういえば、ほんのり記憶があるよ。 低い声をパパだと思って、ならいいやって甘えて起きずに寝てたんだ。 うぅ……どーしよ、ウチ、さっそく迷惑かけたかも。 だいじょぶかな、怒ってないかな……なんて。 気になっちゃってドキドキしながら顔を視た……が、どうやら怒ってはなさそうだ。 良かった……とやや安心で、おずおずと顔を上げれば、大きな霊体(からだ)にフワモコ毛皮が目にはいる。 そこにいるのはパンダのバラカス、白雪ちゃんの親友だ。 昨日の夜に初めて会って、その足でオウチに来たんだ。 『おまえ、朝は弱いのか?』 バラカスは言いながら、大きな爪をパチンと鳴らすと部屋中のカーテンが一気に開いた(まぶし……!)。  『朝はそんなに弱くないです。ただ、黄泉に来てから寝不足が続いてるから……』 悪夢は昨日も視た。 悪霊(アイツ)の笑い声、ウチの髪を切り刻むジーナ。 終わったはずのあの日の事が、毎日毎晩繰り返される。 悪夢にうなされ夜中に起きれば、その後は大抵眠れない。 怖くて辛くて泣きながら、朝までそのままうずくまる。 昨日も、そうなるはずだった。 でもならなかった。 悪夢に起きて、だけどそのあとグッスリ深く……久しぶりに熟睡できたのだ。 『寝不足? あぁ、昨日の夜泣きが原因か。コワイ夢視てビービー泣いてたもんなぁ。ケケッ! マジョリカはガキだな』 『なっ! よ、夜泣きって言わないでください! それにウチ、子供じゃないもん! 17才だもん!』
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