第三章  霊媒師研修ー1

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「話が脱線しちゃったけど、“生きた人間”と“幽霊”との視分け方に戻るよ。とは言ってもなぁ、エイミーみたいな子は初めてだからなぁ。他の社員でここまで視える子いないから、本当に手探りだよ」 「あ、そう言えば、ウチの会社って僕以外の先輩霊媒師の方って何人くらいるんですか?」 「霊媒師? ああ、現場に出てるのは5人いるよ。だけど基本的に外に出てるから普段は会社にほぼいないんだ。みんな家から現場まで直行直帰で、出社するのは月1くらいかなぁ? ま、そのうちタイミングが合えば追々紹介するよ」 言いながら社長は、ホワイトボードに描かれたビルの絵を消していく。 そして新たに描かれたのは、赤ペンで大きく“電気”という文字だった。 「さて、エイミーってさ、もしかして一年中静電気すごくない?」 「えっ? あっ! はい! すごいです!」 「だよね。じゃあさ、家電、パソコン、照明、そういうのよく壊れない?」 「壊れます! 壊れます! 昔からそうです!」 「やっぱり帯電体質か。じゃあさ、その電気をエイミーの意志で放電できる? 緑の髪の鬼娘みたいにさ」 「そんな事できる訳ないですよ。っていうか鬼娘って誰の事ですか?」 「ああ、わからなければいいや。でもって、放電はまだできないのね、はいはい」 “まだできない”って、社長。 これも研修すれば出来るようになるって事ですか? まあ、結界を張れと言われるよりは、放電の方がまだイケるんじゃないかと思ってしまうのは、だいぶ社長に毒されてきたという事か。
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