第二十一章 霊媒師 ……もいる、黄泉の国の話

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えっ!? パンダが喋った!? 聞き違いじゃないよね? 今、喋ったよね? え、え、えーーー!? ウチがアワアワしていると、パンダはさらに追い討ちをかけてきた。 『おい、聞いてんのか? 口開けっ放しでマヌケな顔になってるぞ。で、俺の言葉は分かるか? おまえの耳にはイタリア語で聞こえてるはずなんだがよ』 イタリア語……?  あ、うん、そうだ、え? え? えーーーーー!? 間違いない! 『パ、パンダが喋った!』 やっとのコトでそう言った。 ウチはもうパニックだ。 喋ったのは勿論だけど、それ以上に驚いたのが可愛いはずのパンダちゃんが、オジサンみたいなパンダさんになっちゃったんだもの! 『お、どうやら分かるみてぇだな。んじゃあ、改めて自己紹介だ。俺の名前はP・A(ピーエー)バラカス、バンブー星のパンダ族で黄泉のシステム担当だ。白雪とは(なげ)え付き合いで、マジョリカの面倒をみてくれと頼まれたんだ。これからしばらく一緒に暮らすが、気を遣うこたぁねぇ。気楽にやってくれ。ああ、そうそう。俺のコトは “バラカス” でいいからな、つーか “バラカスさん” はヤメテくれ。こそばゆいからよ』 ニコッ! バラカスはとびきりキュートに笑ったけれど、喋るほどにオジサンだった。 『よし、さっそく今日から(うち)に来い。ああ? 荷物なんかいらねぇよ。パンツなら指を鳴らして出せばいい。ほら、行くぞ』 『パ、パンツって…… え! や! ちょっと! わーーーーー!』 バラカスはケケケと笑うとウチを軽々肩に乗せ、のっしのっしと歩き出す。 騒いでも降ろしてくれずに笑うだけ…………こうして、ウチはパンダにさらわれたのだ。
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