第二十一章 霊媒師 ……もいる、黄泉の国の話

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____あの日から、ウチの生活は一変した。 一緒に暮らすバラカスは、口が悪くてやることなす事大雑把。 細かいコトは気にしないし、思い立ったらすぐ実行。 こないだなんて『マジョリカ起きろ、今から星を視に行くぞ』って、夜中に叩き起こされたんだ。 『……んも……星ぃ? いいよぉ……ウチ眠いよぉ……』 ウチはとーぜん断った。 星は好き、だけどそゆのは前もって言ってほしい。 聞いたの今だし、突然すぎるし、ウチの都合はまるで無視だし。 『眠いだぁ? 知るかそんなコト。今夜の流星群はスゲェんだよ。大雨みてぇに降ってくる。おまえ、視たコトねぇだろ?』 『視たコトないけどさぁ……眠いんだよぉ……ん…………(すや)』 返事の途中で意識が飛んだ。 眠くて眠くてたまらないのに(そりゃそうだ、夜中だもん)、パンダは決して諦めない。 『ったく……しょうがねぇ小娘だな。いいから起きろ。あと2時間もすりゃあ、マジョリカの ”夜泣きタイム” だ。どうせ起きちまうなら流星視た方がお得だろうが』 『んもー、夜泣きって言わないでよね。ウチ、子供じゃないんだから。それに知ってるでしょう? ウチ、ココに来てから良く眠れる、怖い夢を視なくなったんだ』 そう、あれだけ苦しめられたのに、ここに来てから視たのはたったの1回だ。 バラカスに連れられて、初めてここに泊った日。 ウチは夜中に自分の悲鳴で目が覚めた。 いつもなら怖くて泣いて、そのまま朝まで眠れないはずだった。 だけどあの日はバラカスが来てくれたんだ。 …… ………… 『どうした、怖い夢でも視たか』 言いながら、ノックもしないで部屋に入ると、ウチの近くに座ったの。 『…………ウルサクしてごめんなさい。起こしちゃいましたね』 『いや、起きてたから大丈夫だ』 『起きてたの? 夜中なのに? もしかして、バラカスも眠れないの?』 バラカスが起きていた、そう聞いた時、ウチは少しほっとした。 あんまり迷惑かけたくないもの。 『眠れねぇワケじゃねぇよ。白雪から聞いてたんだ。おまえが毎晩、コワイ夢視て夜泣きするって。だから今夜もそうだろなって、それで起きてた』 『……それって、ウチの為に?』 『まあな。おまえ、黄泉に来てからずっと悪夢で眠れねぇんだろ? 今夜も怖くて起きて、なのに一人ぽっちじゃあ、辛くてトドメくれちまうだろうから待機してたんだ』 『……待機って……ずっと?』 『ずっと』 『いつ起きるかわからないのに?』 『わからなくてもだ』
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