第二十一章 霊媒師 ……もいる、黄泉の国の話

245/285
前へ
/2550ページ
次へ
『ま、待って! ダイジョウブ、無理してない! 楽しいよ! だって光道(ココ)に来れば、白雪ちゃんと毎日会えるんだもん!』 必死になって弁解したけど、焦ったウチは気付いてなかった、ついつい本音が出ていた事に。 困った顔の白雪ちゃんは、 『マーちゃん……あなたやっぱり私に会いたいから光道(こうどう)に来てたのね』 そう言って小さく息を吐いた。 ど、どうしよう、バレちゃった、そう思うと焦ってしまってアワアワだ。 『あぅ……えっと……うんと……それだけってワケじゃ……あぅぅ……いや、だから、そんなコトは……な、ないというか……ゴニョゴニョ……』 うまく言えないウチの様子に今度は大きく息を吐き、白雪ちゃんは言ったんだ。 『んも……困った子。マーちゃんダメよ。私に会いたいと思ってくれるのは嬉しい。だけどそんな理由じゃ、これからの研修は辛くなるばかりだわ』 ダ、ダメ、この流れはいけない、なんとかしなくちゃ辞めさせられちゃう、ウチ、辞めたくないよ! 『ま、待って、お願い! ウチ、もっと真面目にするから、手も振らないし色んな星の文化も全部覚えるから! だから追い出さないで』 せっかく毎日会えるのに、ここで辞めたら会えなくなっちゃう。 それはイヤだと必死になって訴えた。 すると白雪ちゃんは、 『追い出すだなんて……違うわ。そういう意味じゃない。あのね、光道(ここ)の仕事は本当に大変なの。研修では覚える事がいっぱいあるし、座学が終われば実習がまた大変だわ。研修生の大半は途中で辞めてしまうもの。厳しい言い方をするようだけど、真剣に学ぼうという気がないと難しい。私に会いたいという理由だけでは続かないわ』 『…………ウ、ウチ……』 『それに……マーちゃんは私だけじゃない、もう1つ光道(ここ)に来たい理由があるでしょう?』 『(ドキン……!) そ、そんなのナイヨ……あ、でもチョットだけ……ん、ゴニョゴニョ』 『んー? 隠したってダーメ、分かってるんだから。あなた、モニターで現世が視たいのよね』 あ……これもバレてる……ど、どうしよう、どうしよう……
/2550ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2374人が本棚に入れています
本棚に追加