第二十一章 霊媒師 ……もいる、黄泉の国の話

247/285
前へ
/2550ページ
次へ
『ねぇ、マーちゃん。このあとゴハンを食べに行かない?』 ふわんと笑顔の白雪ちゃんが、ウチを誘ってくれたんだけど、その時、遠くから大きな声が聞こえたの。 ____(おさ)ー! (おさ)はいずこー!?  トラブル発生です! 入国したてのカンガル族が10頭、『オレ達は死んでないぞー!』と思いっきり暴れてます! 誰も止められません! 戦闘民族相手じゃムリー! (おさ)、助けてー! 『あ……と、緊急事態発生。マーちゃんゴメンね、私行かなくちゃだわ』 どこかでトラブルがあったらしく、白雪ちゃんが呼ばれてしまった。 『だいじょうぶ? 戦闘民族が暴れてるとか言ってたけど……』 心配でそう聞くと、白雪ちゃんは力強く笑った。 『まったく問題ないわ。戦闘民族くらいなら片手で充分対応できるわよ。それより私から誘ったのにゴメンね。ゴハンはまた今度にしましょう。 ああ、そうそう。家に帰ったらバラカスに伝えてくれる? 今夜、システムの臨時メンテナンスをしてちょうだいと』 『臨時メンテ? システムって……バラカスのオウチにあるコンピューターの事?』 『そうよ。黄泉の国公式機。すべての管理をバラカスがしている9999台のサーバーの事よ。それの臨時メンテをしてほしいと、……そうね、今日あった事をバラカスに話しながら伝えてちょうだい』 ____(おさ)ー! 白雪(おさ)ー! まだですかー!? カンガルパンチの雨あられです! 早く来てー! おーたーすーけー! 『やだ! 相当ピンチみたい! 私もう行くわ! マーちゃん、さっきのバラカスに伝えてね、それと真っすぐ帰るのよ、じゃあね!』 ブンッ! 言うだけ言った白雪ちゃんは、短い音を最後に姿を消した。 暴れん坊のカンガル達を止めに行ったんだ。 心配だな……と思ったけど、白雪ちゃんはすんごくすんごく強いんだった。 だからきっと大丈夫。 白雪ちゃん、気を付けていってらっしゃい。 『さてと……ウチも帰ろ。今夜のゴハンはなにかな、』 なんてコトを考えながら、ウチはバラカスの待つオウチへと足を急がせたのだ。
/2550ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2374人が本棚に入れています
本棚に追加