第二十一章 霊媒師 ……もいる、黄泉の国の話

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『ただいまぁ』 オウチに帰ってカバンを置いて、ウチはそのままキッチンへと向かった。 中に入ればいつもの通り、巨大なパンダが晩ゴハンの準備をしている。 『おぅ、おかえり。マジョリカ、今夜のメシはオムライスでいいか?』 『オムライス? 良い! 良いにきまってるよぉ!』 思わず跳ねた。 だって大好きオムライス、今日もご馳走晩ゴハン、やったー! こうやってバラカスは、変わるコトなく毎日ゴハンを作ってくれる(ウチの好きなものばっかり!)。 朝ゴハンと晩ゴハン、……だけじゃない。 ここ一週間は、光道(こうどう)に行くウチの為にお弁当も作ってくれるのだ。 ああ、すんごくありがたい。 本当は、交代でウチも作ろうと思ってた。 バラカスばっかりさせたら悪いし、料理はけっこう好きな方だし。 だけどそれは無理だった。 なぜなら……この家のキッチンは、バラカスサイズで大きすぎるのだ。 料理の前にヒト族サイズのキッチンが必要だ。 …… ………… ……………… 『ごちそうさまでしたー! あーおいしかったー!』 オムライスを完食し、ふくれたお腹をポンポンたたいてバラカスに視せつけた。 視せられたバラカスは ”ケケケ” と笑うと、 『ったく、色気もへったくれもねぇな。でもま、その様子じゃ腹いっぱいになったんだろうから、分かりやすくていいや。んで、今日はどうだった? 光道(こうどう)の研修じゃあ、覚えるコトいっぱいあって大変だろ』 こう言いながらお茶を淹れてくれたんだ。 『ああ……大変だったというか……その……ウチ、今日は失敗しちゃったの』 『失敗? なにやらかしたんだよ』 『うん、それがねぇ、』 ウチは今日あった事をバラカスに話して聞かせた。 座学中、講師である白雪ちゃんに見惚れてしまったコト。 途中で白雪ちゃんと目が合って、思わず手を振っちゃったコト。 研修が終わった後に白雪ちゃんと色々話をしたコト。 そこまで話すとバラカスは、 『ホントにおまえは何しに光道(こうどう)に行ってんだよ。完全に白雪目当てじゃねぇか』 またもや ”ケケケ” と笑いこう言った。 図星すぎて焦ったウチは、 『そ、それだけじゃないよ! 外でバラカスのお弁当食べるのだって楽しみだもん!』 反論したけどダメだった。 聞いたパンダはしばらく話が出来ないくらい、お腹を抱えて笑い転げたのだ。
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