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『ただいまぁ』
オウチに帰ってカバンを置いて、ウチはそのままキッチンへと向かった。
中に入ればいつもの通り、巨大なパンダが晩ゴハンの準備をしている。
『おぅ、おかえり。マジョリカ、今夜のメシはオムライスでいいか?』
『オムライス? 良い! 良いにきまってるよぉ!』
思わず跳ねた。
だって大好きオムライス、今日もご馳走晩ゴハン、やったー!
こうやってバラカスは、変わるコトなく毎日ゴハンを作ってくれる(ウチの好きなものばっかり!)。
朝ゴハンと晩ゴハン、……だけじゃない。
ここ一週間は、光道に行くウチの為にお弁当も作ってくれるのだ。
ああ、すんごくありがたい。
本当は、交代でウチも作ろうと思ってた。
バラカスばっかりさせたら悪いし、料理はけっこう好きな方だし。
だけどそれは無理だった。
なぜなら……この家のキッチンは、バラカスサイズで大きすぎるのだ。
料理の前にヒト族サイズのキッチンが必要だ。
……
…………
………………
『ごちそうさまでしたー! あーおいしかったー!』
オムライスを完食し、ふくれたお腹をポンポンたたいてバラカスに視せつけた。
視せられたバラカスは ”ケケケ” と笑うと、
『ったく、色気もへったくれもねぇな。でもま、その様子じゃ腹いっぱいになったんだろうから、分かりやすくていいや。んで、今日はどうだった? 光道の研修じゃあ、覚えるコトいっぱいあって大変だろ』
こう言いながらお茶を淹れてくれたんだ。
『ああ……大変だったというか……その……ウチ、今日は失敗しちゃったの』
『失敗? なにやらかしたんだよ』
『うん、それがねぇ、』
ウチは今日あった事をバラカスに話して聞かせた。
座学中、講師である白雪ちゃんに見惚れてしまったコト。
途中で白雪ちゃんと目が合って、思わず手を振っちゃったコト。
研修が終わった後に白雪ちゃんと色々話をしたコト。
そこまで話すとバラカスは、
『ホントにおまえは何しに光道に行ってんだよ。完全に白雪目当てじゃねぇか』
またもや ”ケケケ” と笑いこう言った。
図星すぎて焦ったウチは、
『そ、それだけじゃないよ! 外でバラカスのお弁当食べるのだって楽しみだもん!』
反論したけどダメだった。
聞いたパンダはしばらく話が出来ないくらい、お腹を抱えて笑い転げたのだ。
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