第二十一章 霊媒師 ……もいる、黄泉の国の話

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『わぁ……すごい……』 バラカスの仕事部屋はリビングの奥にある。 開けっ放しのドアの隅から覗いたコトはあったけど、こうして中に入るのは初めてだ。 うんと広いこの部屋は(もはや部屋と呼んでいいのか分からない)、黄泉の国の公式機、9999台のサーバーが先の先までズラリと並び、一番向こうはココからじゃあ視えてこない。 サーバーと言ったって、地球のモノとはぜんぜん違うの。 ココにあるのはバラカスサイズで、サーバー1台、ダブルベッドを縦に置いた大きさなのだ。 『マシン全台、全部俺の自作だ』 ウチに背中を向けながら、バラカスはそう教えてくれた。 全部自作って……9999台もあるのに? 信じられない……バラカスはすごいな。 これだけのサーバーを作るのに、一体どれだけ時間がかかったんだろう、 よく最後まで作り切ったよ、ウチなら絶対途中で挫ける。 『しっかし驚いたぜ。あのクソ真面目な白雪が言い出すコトじゃねぇや。ケケケッ! まったくもって面白れぇ。こりゃあ明日の天気は ”笹” だな。降笹確率は90%、空からは新鮮な笹の葉が降る事でしょう、なんてな』 ご機嫌で呟きながら、なにやら機械の操作をしている。 バラカスの大きな爪がキーボードを叩くたび、サーバーは赤や青、黄色に緑と、花が咲いたように輝き出した。 キレイだなぁ……しばらくボンヤリ視ていると、 ブンッ! 突然、鈍くて低い音がした。 直後、パンダの斜め上、そこに、…………え? ウソでしょ……? 大きな四角いモニターが…………現れたんだ! 『これって……!』 目は釘付けだった。 視たくてたまらなかったモニターがすぐ近くにある事が信じられずにいた。 巨大なパンダは変わらず背中を向けたまま、 『映像がちゃんと映るか試運転しねぇとな』 と尚も操作を続ける。 『ねぇ! これ、白雪ちゃんが出したモニターとおんなじだよ! なんでバラカスが出せるの!?』 聞きながら目線は縛られた。 画面には大きな街並みに、知らない人達がたくさん映ってる。 『ああ? どうしても何もねぇよ。モニター(コレ)の開発者は俺だぜ? そりゃ出せるだろ』 『バラカスが開発者……!? モニター(これ)も作ったってコト!?』 『ああそうだ。スゲェだろ、視直したか?』 コクコクコクコクコクコクコク! ビックリしすぎたウチが何度も何度も頷くと、バラカスは『そーだろそーだろ』と満足げに胸を張った。
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