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『わぁ……すごい……』
バラカスの仕事部屋はリビングの奥にある。
開けっ放しのドアの隅から覗いたコトはあったけど、こうして中に入るのは初めてだ。
うんと広いこの部屋は(もはや部屋と呼んでいいのか分からない)、黄泉の国の公式機、9999台のサーバーが先の先までズラリと並び、一番向こうはココからじゃあ視えてこない。
サーバーと言ったって、地球のモノとはぜんぜん違うの。
ココにあるのはバラカスサイズで、サーバー1台、ダブルベッドを縦に置いた大きさなのだ。
『マシン全台、全部俺の自作だ』
ウチに背中を向けながら、バラカスはそう教えてくれた。
全部自作って……9999台もあるのに?
信じられない……バラカスはすごいな。
これだけのサーバーを作るのに、一体どれだけ時間がかかったんだろう、
よく最後まで作り切ったよ、ウチなら絶対途中で挫ける。
『しっかし驚いたぜ。あのクソ真面目な白雪が言い出すコトじゃねぇや。ケケケッ! まったくもって面白れぇ。こりゃあ明日の天気は ”笹” だな。降笹確率は90%、空からは新鮮な笹の葉が降る事でしょう、なんてな』
ご機嫌で呟きながら、なにやら機械の操作をしている。
バラカスの大きな爪がキーボードを叩くたび、サーバーは赤や青、黄色に緑と、花が咲いたように輝き出した。
キレイだなぁ……しばらくボンヤリ視ていると、
ブンッ!
突然、鈍くて低い音がした。
直後、パンダの斜め上、そこに、…………え? ウソでしょ……?
大きな四角いモニターが…………現れたんだ!
『これって……!』
目は釘付けだった。
視たくてたまらなかったモニターがすぐ近くにある事が信じられずにいた。
巨大なパンダは変わらず背中を向けたまま、
『映像がちゃんと映るか試運転しねぇとな』
と尚も操作を続ける。
『ねぇ! これ、白雪ちゃんが出したモニターとおんなじだよ! なんでバラカスが出せるの!?』
聞きながら目線は縛られた。
画面には大きな街並みに、知らない人達がたくさん映ってる。
『ああ? どうしても何もねぇよ。モニターの開発者は俺だぜ? そりゃ出せるだろ』
『バラカスが開発者……!? モニターも作ったってコト!?』
『ああそうだ。スゲェだろ、視直したか?』
コクコクコクコクコクコクコク!
ビックリしすぎたウチが何度も何度も頷くと、バラカスは『そーだろそーだろ』と満足げに胸を張った。
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