第二十一章 霊媒師 ……もいる、黄泉の国の話

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『…………ぁ……ぁあ……』 まともな言葉が出てこない。 霊体(からだ)は震え、喉が詰まって息をするのもままならない。 涙が溢れ、視界が歪んで2人の顔も歪みだす。 ウチはもつれる足を前に出し、モニター画面に近付いた。 2人の顔にさわりたかったし、もっと近くで視たかった、……だけど途中、身を切る思いで足を止めた。 『バ、バラカス、』 あ……やだな、声が震えてる。 なんとか落ち着かなくちゃ。 『なんだ?』 小さな声を聞き取る為か。 短い返事のバラカスは、大きな霊体(からだ)をうんと屈めてウチを視た。 『あ、あのね、ダメだよ。バラカスの気持ちは嬉しいけど……こんなコトしたら白雪ちゃんに叱られちゃう』 『叱られる? なんでだよ、んな訳ねぇだろ』 『そんな訳あるよ。だって……バラカスも知ってるでしょう? モニターを扱えるのは、【光道開通部(こうどうかいつうぶ)】のチーフ職以上。……ウチは座学の新人だもん。視たらダメなんだ、』 そう、視たら駄目なの。 そりゃあ……本当の事を言えば視たい、視たいに決まってる。 だけどさ、もしそんな事をしたら、 ____それがルールだわ、 ____ルールを破ればペナルティがつく。 ____視た本人と、それから上司である私にもね、 白雪ちゃんに迷惑がかかる。 『ああ、なるほど。ココでお前が視たら白雪に迷惑がかかるから、それで我慢してるのか。……へぇ、おまえスゲェな。俺なら迷わず視るけどな』 呆れたように目を細めるバラカスは、ニヤリを笑うとそう言った。 『そんな堂々と言わないでよ。とにかくね、ウチの決心が鈍らないうちにモニターを消して。そうでないと……いつもまでもココにあったら、気持ちが負けてしまうかも』
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