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モニターに背中を向けて、パンダの毛皮をぎゅーっと掴んだ。
引っ張るつもりはもうないけど、何かにつかまってないと視てしまいそうなんだ。
バラカスはそんなウチをゴシゴシ撫でつつ、
『ホントに視ないのか? せっかく父ちゃんと母ちゃんが映ってるのに勿体ねぇ。マジョリカは白雪みてぇに真面目だな。ほーん、そーか。ま、いいや。んじゃあ俺だけ視るわ』
なんて言ったんだ!
『えぇ!? 消さないの!? バラカスは視るの!? なんで!?』
『なんでって、そりゃ視るさ。だってよ、こりゃあメンテナンスだぜ? 画像の映りをチェックしねぇとな。屋外映像はさっきので済んだからよ、次は屋内だ。ちょうど家の中が映ってるしサンプルとしてピッタリだろ』
『メンテって……じゃ、じゃあさ、別にウチのオウチじゃなくても良くない? どこか違うオウチにしようよぉ! ささ! 爪を鳴らして! ほらほら早くぅ!』
『あぁ? やだよ、面倒くせぇ。散々切り替えたんだ、もういいだろ。それによ、マジョリカの父ちゃんと母ちゃんが視てみたかったんだ。だからな、メンテついでに俺は視る。で、おまえは視ないんだっけ? いいさ、構わねぇ。好きにしろ』
『えぇぇぇ……そんなぁ……』
なにこれ、普通はさ、こーゆー時ってさ『じゃあ消すよ』ってならない?
なんで消さないの? なんでパンダだけ視るの? どーしてー!?
それでも、どうにかこうにか頑張った。
モフモフ毛皮を両手で掴んで、パンダのお腹に顔を押し付け、モニターを視ないようにしてたんだ。
なのにバラカスときたら……
『へぇ、マジョリカの瞳の色は親譲りか。珍しいな両親共にヘテロクロミアなんてよ』
とか、
『マジョリカは父ちゃん似か。目なんか笑っちまうほど似てるじゃねぇか。だけど口元は母ちゃんだな』
とかとか。
なぜかパンダは大騒ぎ。
ウチはモニターが気になって気になって仕方がなかった(でもガマン)。
……
…………
………………
『マジョリカ、ホントに視ないのか? ここに白雪はいないんだぜ? 視ちまえよ、ケケ……黙ってりゃあバレやしねぇよ、ケケケケケ!』
うぅ……誘惑だ……うぅぅ……神様、どうかお助けください……ココに悪いパンダがいます……パンダが誘惑するんですぅ……!
『ほーれ、ちょっと振り向きゃ視えるぞー、ほーれほーれ』
うぅ……うぅ……悪パンダめ……ウ、ウチは……ウチは……
『み、視ないったら視ないよ! もぉやだぁ! 白雪ちゃあん、おーたーすーけー!』
半べそになりながら、ここにはいない友達に助けを求めた時だった。
バラカスは急にウチを抱き上げて、目線を同じ高さにしたの。
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