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わ……大きい。
バラカスの顔、こんなに近くで視たの初めてだ。
楕円の黒縁、その真ん中には宝石みたいな瞳があるの。
黒くてキラキラ、その両方にウチの顔が映ってる。
『マジョリカよぉ、おまえは真面目だな。白雪に迷惑かけたくねぇって分かるけどよ、本当は視たいんだろ? 父ちゃんと母ちゃんの顔をよ』
半分笑ったバラカスが、ウチに向かってこう言った。
視たいかって……、
『そりゃあ視たいよ。でも視ない。白雪ちゃんに迷惑かけたくないもん。ウチね、白雪ちゃんにはすんごく感謝してるんだ。ウチとジーナを助けてくれた。白雪ちゃんがいなかったら、ウチはいつまでも光る道にいただろうし、ジーナだって生きてないもの』
それだけじゃない、白雪ちゃんのおかげでこの髪がある。
白雪ちゃんのおかげでタッキーさんともマザーさんとも、そしてバラカスとも知り合えた。
『ああ、そうだったな。おまえが死んだ時、悪い霊に襲われたと聞いてる』
『……うん、すごく怖かったよ。襲われたのはウチだけじゃない。ジーナも……ウチの友達も危なかったんだ。白雪ちゃんには感謝しかないよ。だからね、白雪ちゃんに迷惑をかけたくないし、悲しませたくもない。パパとママの顔、視たいけど……いつかは会えるんだ。だから……ガマンするの』
言いながら、最後の方は涙混じりになってしまった。
思い出すと少し怖い、でも……大丈夫。
だって今は独りじゃないから。
『そうか、ガマンするのか。マジョリカは素直だな。それに……良くしてもらえば、それに対してキチンと感謝が出来る』
『キチンとって……そんなコトは当たり前でしょう?』
『あー、ん、そうだな。本当は当たり前なのかもな。でもよ、それが出来ねぇヤツはいっぱいいる。元々感謝の気持ちがねぇクソはもちろんだが、感謝はしてても自分の利益を優先して、結果裏切るヤツもいる。いろいろさ』
『……ふぅん、そうなんだ……ウチはそゆのやだな……』
『そうか。そうだよな、嫌だよな。よし、マジョリカはこれから先、ずっと変わらずマジョリカのままでいろ。わかったな』
『……なんだそりゃ。ウチはウチだよ、ずっと変わらない』
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