第二十一章 霊媒師 ……もいる、黄泉の国の話

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そう言って、おかしそうに笑う白雪ちゃんはこうも続けた。 『バラカスね、マーちゃんを娘にするって言ってから随分と変わったわ。元々優しいパンダたけど、もっと優しくなったもの。それまでのバラカスは、悪気はないけど(ひと)に対してキツイ事を言うコトが多かったのよね。それでよくトラブルになってたわ。でも、それが減ったの。自分が好き勝手して、娘のマーちゃんが悪く言われたら……って思ったみたい。ま、口の悪さは変わらないけど』 『あ、それ他の(ひと)にも言われたよ! バラカスは丸くなった、それはウチと家族になってからだって。だけど……ぷぷ! そだね、口の悪さは健在だ』 ____バラカスってさぁ!  ____マジョリカといるようになって変わったよねぇ! こういうの、いろんな(ひと)に言われたよ。 中でも、【光道開通部(こうどうかいつうぶ)】の古株達の驚きようは、ウチが引くほどスゴかったんだ(バラカスって今までどんなだったんだろ……?)。 『バラカスの ”マーちゃん命” っぷりは、今では有名な話よね』 と白雪ちゃんがイタズラ顔で言うものだから、ウチも負けずにやり返す。 『あはは、それを言うなら白雪ちゃんのママだって有名だよ。バラカスと同じくらい “娘命” だからねぇ』 それを聞いた白雪ちゃんは『お互いアツイ親を持ったわね』なんて、真面目な顔で言うもんだから、笑わずにはいられない。 あはは、おかしいの。 でもね……ウチとバラカス、白雪ちゃんと白雪ママ。 どちらも血の繋がりはないけれど、正真正銘ウチらは親子で家族だよ。 『バラカスとずっと一緒に住んでたマーちゃんが、家を出て自立するって言い出した時も大騒ぎだったわ』 すでに笑ってる白雪ちゃんが、目元の涙を拭いながらそう言った。 『ああ、ウチがチーフ試験に受かった時ね。あれはねぇ…すっっっごい大変だったよ。ウチさ、あの時さ、チーフになれたのが本当に嬉しくてさ。だけどプレッシャーもあったんだ。これからウチに部下が出来る、今までみたいに呑気ではいられないって。しっかりしなきゃと思うけど、家にいればどうしたってバラカスが甘やかす。だから自立しようと思ったんだ』
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