第二十一章 霊媒師 ……もいる、黄泉の国の話

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『あんなバラカスを視たコトがなかったわ。まるで別パンよ。死にそうな顔で「マジョリカに反抗期が来た」ってしょぼくれてるんだもの。だからね、私 言ったのよ。それは反抗期じゃない、マーちゃんは成長したんだわって』 『あはは、そうだったんだ。ホントにさ、親子共々白雪ちゃんにはお世話になりっぱなしだよ。それでもねぇ、パパは中々 ”うん” と言ってくれなくてねぇ。だから数ヶ月言い続けた。バラカスを嫌いになったんじゃない、ダメだと思ったチーフ試験に受かって、これから仕事を頑張りたいだけだって』 『その甲斐あって……』 『うん、渋々だけど一人暮らしの許可が出たんだ。ただし条件があって、1つは毎日顔を視せる事、もう1つはバラカスが用意した家に住む事、』 『そうだった、家は俺が用意するって私にも言ってた』 『だけどねぇ……その家っていうのがねぇ……』 『あら、可愛くて良い家じゃない。ドールハウスみたいでマーちゃんにぴったりだわぁ。……ただ近いわね。バラカスの家から歩いて数歩のお隣だもの』 『だよねぇ。あまりに近くて、これは一人暮らしと言えるのかなって思ったもん』 『そうよねぇ。マーちゃんから引っ越し先を聞いた時、てっきり一人暮らしを諦めたんだと思ったもの。それでもバラカスは「娘が家を出てっちまった……」って落ち込んでたけどね』 ウチと白雪ちゃんは目を合わせ、当時のバラカスを思い出す。 そして…… 『『 あはははははは! 』』 パパにはホントにゴメンナサイ、……なんだけど、笑いがどうにも止まらなかったのだ。
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