第二十一章 霊媒師 ……もいる、黄泉の国の話

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いっぱい笑ってお茶を飲んで落ち着いて、白雪ちゃんはお花の形の和菓子を一口、モグモグしながら言ったんだ。 『マーちゃん達が仲良し親子になってくれて、私、とっても嬉しかったのよ。でもねぇ、マーちゃんが毎日バラカスと一緒にいるようになって、言葉遣いが日に日に男の子みたいになっていったでしょう。昔はそれが気になっていたわ。あんなに女の子らしかったのに随分と変わっちゃった、ダイジョブかしら……って』 『あはははは、そだったね。バラカスと一緒にいすぎて、口の悪さが移っちゃったんだ。でも今は戻ったでしょう? 戻ったのはジャッキと結婚してから。毎晩、あの穏やかな話し方を聞いてたら、今度はそっちが移っちゃったんだよ』 『確かにジャッキーさんは穏やかね』 『うん、ウチと話す時はゆっくりだし優しいの。でも大倉がウチにしつこいと、バラカスみたいな言葉遣いで叱るけどね』 ________弥生、おまえしつこいよ! ________毎日口寄せしようとすんな! ________マジョの都合も考えろー! 『あはははは、あのジャッキーさんがバラカス化するなんてよっぽどなのねぇ。でも、なんとなく想像出来るわ。だって弥生ちゃん、昔から光道(こうどう)で有名だったじゃない。“無茶ばかり言う日本の霊媒師” って』 『そうそう! ホントに無茶ばっかし言うんだよ。あの子の要求に対処しきれないオペレーター達が揃ってウチを呼びにきてさ。そのうち大倉の担当はウチ、みたいになってたの。もー参っちゃうよねぇ、あははは』 ホントに大変だった。 でもね、おかげで鍛えられたんだ。 多少のトラブル(コト)なら動揺しなくなったくらい。 そう、どんなトラブルも "大倉(の案件)よりはイージーモード” 、だからね。 そんなコトを考えながらウチがニマニマしていると、 『やだぁ、なぁに? マーちゃんったら1人で笑ってる、』 からかうようにそう言って、だけどすぐに真面目な顔でこんなコトを聞いてきた。 『ねぇ、マーちゃんは今……幸せ?』 ん……? 話がいきなり変わったよ。 白雪ちゃんにしては珍しいな。 急にどうしたんだろ。 『うん、幸せだよ。幸せなんだけどさ……えっと、なんで急にそんなコト聞くの?』 『やだ、いきなりビックリさせちゃったわね。ごめんね、気にしないで。幸せならそれで良いの』 慌てたように両手を振って、『この話はオシマイ』なんて言ってるけど、オシマイに出来ないよ、だって意味深、気になっちゃう。 『……なに? なになに? もしかしてウチ、何か心配かけるようなコトした? そうなの? そうなんでしょ! ごめん! 何した? 教えて!』 大親友の腕をつかんでガクガク揺らして、教えてほしいと騒いでみたら、白雪ちゃんは慌てたように言ったんだ。 『ご、ごめん、違うの。少し気になっただけで、深い意味はないんだけど……その、マーちゃんは弥生ちゃんと……うまくいってるの?』
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