第二十一章 霊媒師 ……もいる、黄泉の国の話

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◆ ____大倉弥生を独りに出来ない、 最初に言い出したのはウチの方なんだ。 ん? 本当だよ、ウチが言ったの。 あの日。★ 白雪ちゃんに【闇の道】をのばしてもらった日から2週間。 ウチ、お休みもらって現世にいたでしょ。 ずっとジャッキのオウチにいたんだ。 どこにも出かけなかった。 部屋で2人で寄り添って、ずっとずっと話をしてた。 今までみたいな ”他愛のないおしゃべり” じゃなく、顔を視ながら、本音で本気で話をしたの。 新しい発見がいっぱいあったよ。 話をしていてお互いに、こんな一面もあったんだ……なぁんて、驚いたり笑ったり感心したりと忙しかったのを覚えてる。 ん……ほんと、発見の連続だった。 結婚して8年。 声だけとはいえ、ほとんど毎晩話してたから、お互いの性格は知ってるつもりでいたの。 だけど違った。 話せば話すほど、ウチの知らないジャッキが出てきてさ。 その中には ”弱いジャッキ” も ”ちょっぴり情けないジャッキ” もいたんだけど……ウチはね、 そんなジャッキも愛おしいと思ったの。 弱い所も強い所も、その両方がジャッキだもん。 どんなジャッキも大好きだから、もっと知りたい、ジャッキの全部が知りたいよって…… ウチがそう言うと、ジャッキは嬉しそうな顔をした。 同時、ホッとしたような表情も視せたんだ。 『自分は気負いすぎてたのかな、……マジョのコトが好きすぎて、良い夫でありたい、弱い所を視せて嫌われたくないと思ってた。それが空回っていたというのに、』 んも……呆れちゃう。 そんなコトでキライになんかならないのに。 愚痴だってなんだって言って欲しい。 ウチをもっと頼って欲しいし、信じてほしい。 ジャッキはさ、思ったより大人じゃないよ。 でも好き、大好き。 …… …………こうやって顔を視て話すって大事だな。 きっと、声だけのやり取りじゃあこうはいかないよ。 話せて良かった、現世に残って良かった、……って、こう、思えるのは大倉の、……おかげなんだよね。 ウチの意志だけじゃ現世にはいられない。 霊力者が、ここにはいない大倉が、ウチの為に、ジャッキの為に、身を削って口寄せをし続けてるからいれるんだ。 ★第十六章の後半、マジョリカがバラカス経由で白雪ちゃんに【闇の道】をのばしてもらったあたりのシーンがココです。 https://estar.jp/novels/24474083/viewer?page=902&preview=1
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