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浮かぶ顔は淋し気で、背中を丸めて黙ってる。
その姿が小さなヤヨイと重なって、まるであの子も子供みたいに思えてしまう。
家族はいるけどいないと同じで、ジャッキも離れてアパートに独りきり。
大倉、辛いだろうな…………だからと言って、ウチに出来る事はない。
だって……だってそうでしょう?
大倉を救う事が出来るのは、幸せに出来るのは、黄泉と現世を合わせてもジャッキしかいない。
だけどウチだっておんなじだ。
ジャッキがいないと、ジャッキでないと駄目なんだ。
ずっと一緒にいたい、独りになったらウチがウチでなくなっちゃう。
大倉は恩人だけど、すごく感謝はしてるけど、ジャッキだけは譲れない。
『……もう、考えるのはよそう』
自分に言い聞かせるように、あえて声に出してみた。
仕方がないよ……大倉も辛いと思うけど、いつかそのうち別の誰かを好きになるかもしれない。
そしたらさ、ジャッキのコトもウチのコトも忘れてさ、すんごく幸せになっちゃうの。
大丈夫、……大丈夫、きっとそんな日が来るはずだ、辛いのは今だけだよ。
……
…………
………………
……ソウカナ……ホカニスキナヒトナンテ……デキルノカナ……?
ソンナヒトガ……デキルクライナラ……トックニ……コンナニナヤム……コトモナイ………………あ、
ああもう、また考えてしまった。
ワザとじゃないのに、気を抜くと浮かんできちゃうんだ。
どうしよう……ウチ、この先もずっとこんななのかな?
大倉が気になって、ふとした時に頭に浮かんで、そのたびにモヤモヤして。
せっかく現世でジャッキといるのに、気持ちが分散してしまう。
『なんかスッキリしないなぁ。ん…………あ、そだ。こういう時は霊体を動かせばいいんだ』
大好きな白雪ちゃんの教えだ。
____悩んだら筋トレをしなさい、
____鍛えれば鍛える程導いてくれるわ、
うん、ウチ頑張るよ。
筋トレとまではいかないけれど、ちょっと本気でストレッチとか、そゆのをしようと思ったの。
霊体を伸ばせば気持ちが良いし、気分転換にもなる。
ウチは両手を大きく広げ、『うーーーん』とゆっくり伸びをして、その後、あっちに捻り、こっちに捻り、前屈に後屈、屈伸なんかもしちゃうんだ。
あー最高、頭の中がスッキリするよ。
『えぃ!』
気分がノッて掛け声なんかもかけてみた。
リズミカルに動くうちになんとなく、上げた両手をブンッと下に振り下ろす。
右も左も同じように振り切って、……ん、この動きって何かに似てない?
なんだっけ? なんだろう? 最近視たよ、こういう動き…………ん……あ、分かった。
これってさ、大倉のカタナの動きに似てるんだ。
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