第二十一章 霊媒師 ……もいる、黄泉の国の話

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さすがにココまで言えば分かってくれるだろうと思った。 大倉はウチをキライではないと言ったし、ジャッキーとだって一緒にいれるんだ……と、思ったのに。 ウチは大倉のしつこさを甘くみていたのだ。 「…………ありがと、マジョリカ……あんたの気持ちがすごく嬉しいよ。こんなアタシを、あんたの大事なジャッキーを好きになっちゃったアタシを……受け入れようとしてくれる……でもダメ。優しさに甘えたらイケナイの。アタシは草葉の陰から2人の幸せを祈ってるから……ぐぅ……えぐ……ひっく……えぐえぐ」 大倉はしゃくりあげて泣き出した。 途中で何度も「マジョリカァ……ありがとなぁ」なんて言ってるけど、ダメだってまだ言うの? んも……しつこい、すんごくしつこい。 『ちょっと、まだ言うの? ウチは3人で一緒にいようって言ってんの。甘えたらイケナイ、なんて強がってるけど大泣きじゃない。ホントは一緒にいたいんでしょう? もう意地張らなくていいよ。ほらコッチにおいで』 両手を広げてニコっと笑って泣いてる子を待ち受けた。 ふれるコトは出来ないけど、これからよろしくねの気持ちを込めたんだ、……なのに。 手を広げたウチを視て、大倉は笑顔になりかけた……が、すぐに泣き顔に戻ってしまう。 そしてブンブン首を振り、「ダメダメダメ」と呪文のように繰り返す。 も……なにコレ、怖がりの猫みたい。 傍に来たいのに勇気が出なくて、動けなくなってる仔。 『ほら、ダイジョウブだからコッチにおいで』 更に両手を大きく広げると、あの子はチラッとウチを視て、細い足を恐る恐る前に出し……よし、もうちょっと、もうちょっとでコッチに来る……と思ったのに止まった。 片足を上げたまま、どうしようか迷ってるみたいだ。 んー…………大倉って、こんなに手がかかる子だったの? 思ってたのとぜんぜんチガウ。 2本のカタナを自在に振って、圧倒的な強さを視せた大倉。 なのに今は泣きながら、鼻まで垂らして石化中。 えっと……この子はホントに大倉弥生? ああ……でもそっか……そうだった。 この子はウチより2つ下、年だけ視れば妹だ。 ____強い方が弱い方を守るのは当たり前だろ? さっき、大倉はそう言った。 それなら、 ____お姉ちゃんが妹を守るのは当たり前でしょう? もういいや。 来ないならウチが行く。 『大倉、』 ウチはもう決めたんだ。 悩みに悩んで決めたんだから、あんたも覚悟を決めてよね。 これから色々あると思う。 良い事ばかりじゃないだろうし、途中で後悔するかもしれない。 だけど、あんたを放って独りにしても後悔すると思うんだ。 同じ後悔するのなら、ウチとジャッキと大倉と3人一緒にいればいい。
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