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ひとしきり母娘で泣いたあと、どちらからともなく、お互いの手のひらを宙で合わせた。
ユリちゃんも田所さんも、そのぬくもりを感じる事はできないけど、それでも2人の喜びは計り知れないものがある。
田所さんは目を細め、愛おしくてたまらないといった表情でユリちゃんを見詰めながら、
『ユリ……ユリ……まさかユリにもう一度逢えるなんて……ユリ、こんなに大きくなって、こんなにキレイになって……髪も自分でできるようになったのね、そうよね、あの頃の7才の女の子じゃないんだものね、』
「ママ、私ね、18才になったんだよ」
『18才……そう。だからこんなに背も伸びて……立派になって……そうだユリ、学校は? 高校はもう卒業したの?』
「うん、少し前に卒業式が終わった。私ね、ママと同じ高校に行ったんだよ。ママが着てた制服と同じブレザーに赤いリボンつけて……そうだ! 写真! 待ってて、スマホに写真一杯入ってるから! 見せてあげる!」
ユリちゃんはそう言いながら、田所さんの横に並び忙しそうに画面をタップする。
それを覗き込む田所さんは、驚いたり、笑ったり泣いたりと、表情をクルクル変えて楽しそうに眺めている。
『本当だ、ユリ、ママと同じ制服着てる。お友達と撮った写真もたくさんいっぱいだ。ねぇ、ユリ、ユリはお友達たくさんいるの?』
「そんなにたくさんじゃないよ。クラスの子達とはみんな仲良かったけど、親友だーって言えるのは、この子とこの子だけ。あ! でも心配しないでね。2人だけなんて少ないって思うかもだけど、そのかわり何でも言い合えるし、私が間違った事をしたら、ちゃんと怒ってくれる子達だから」
『うん、うん、充分だよ。親友は特別だわ。あぁ……ママ嬉しいなぁ。ママの大事な娘に親友がいるんだもの、それも2人も! できれば会いたかったな、ママちゃんとご挨拶したかったな……でも、ママ幽霊だから、娘がお世話になってますって会いに行ったら、びっくりさせちゃうね』
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