第二十一章 霊媒師 ……もいる、黄泉の国の話

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『さっきまで泣いてたクセに嬉しそうに言うもんだから、もちろんだって答えたの。ウチだって、たまに現世に呼んでもらえばジャッキと大倉に会える、楽しい時間を過ごせるってワクワクしてた。実際楽しいよ。ゴハンもお酒もおいしいし、それに、大倉って話すとすごく面白いんだ。いつまでたっても話が尽きない。お腹が痛くなるくらい笑っちゃう。大倉もみんなで会えば楽しいらしくて、ウチのコト頻繁に呼んでくれるの。そう、呼ばれすぎてたまに困っちゃうくらい』 ____なぁなぁ、マジョリカの次の休みはいつなんだ? 今度はいつ呼んでいい? 明日? 明後日? えぇ? 今週はもうダメ? えぇぇぇ……? なんで……? どうして……? 仕事だから……? ……ん、そっか……あ、でもさ、夕方に来て朝帰るんなら仕事に間に合うだろ? 死者なら疲労はないし、二日酔いとか体調不良もないって言うじゃん。なんだっけ、ほら、黄泉の国のオートリカバー、それでみんな治るって聞いたよ。それなら問題ないんじゃない? 『あはは、いっつもこの調子でやんなっちゃう。本当にしつこいの、子供だってあんなにしつこくないよ。……でも楽しい、ウチらがこんな風になるなんて思ってもみなかった』 黄泉と現世、離れ離れの遠距離夫婦のはずだった。 それが今、しょっちゅう顔が視れるんだ。 すごく嬉しいよ、すんごく幸せだよ。 ウチを現世に呼びたがる大倉はとにかくしつこい。 だってたまにじゃないんだもん、しょっちゅうウチを口寄せするの。 でもきっと、たぶんきっと、あのしつこさの半分は、ウチとジャッキを逢わせようとしてるから。 大倉は、会ってる途中で用事があるのを忘れてた、そう言って出かけるコトがあるんだもん。 そんな時、ウチとジャッキは2人きり。 ゆったりとした時間が流れるの____ ____だからね、最初は不安もあったけど、それでもなんとかやってるよ。 仲良く、楽しく、ウチらなりに頑張ってる。
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