第二十一章 霊媒師 ……もいる、黄泉の国の話

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チーン! チーン! もう何回目だろう? 白雪ちゃんはまたもや鼻をかんでいる。 かんだティッシュを指を鳴らして消滅させると、ウチの頭をナデナデしながら言ったんだ。 『良かった。私はね、マーちゃんが無理してなくて幸せならそれでいい。今度私も弥生ちゃんに会いたいわ。話した事はあるけど声だけですもの』 『ありがとう、心配かけてごめんね。あとね、大倉も言ってたよ。白雪ちゃんとバラカスに会ってみたいって。ねぇ、今度一緒に現世に行こうよ! みんなでゴハンが食べたいな! 大倉の口寄せはヤヨイが迎えに来てくれるから、現世までの道のりも楽しいの!』 ふふふ……そうなのだ。 現世に行く楽しみのひとつ。 それはヤヨイが迎えに来てくれるコト。 ちっちゃいヤヨイは黄泉に着くと、ウチを探してテクテク歩き、それでウチを視つけると…… 【まじょ! まじょリかみっけ! むかエにキタよ いこウげんせ いきびとトのくに やよいとじゃっきがマッテルよ】 文字を降らしてタタタと走って抱き着いてくれるんだ。 それがもう、すっごーーーーーいカワイイの! あ、どうしよ、ヤヨイに会いたくなってきた。 『ヤヨイちゃんって、弥生ちゃんに顔が似てる小さい女の子よね? 話した事はないけれど視かけた事はあるわ。それなら今度、私も一緒に連れて行ってもらおうかしら。3人で手を繋いで行くの』 『わぁ! それ楽しそう! ヤヨイが真ん中で3人で手を繋ぐなんてサイコー! あ、じゃあじゃあバラカスはどうする? ヤヨイの手は2本だもん、バラカスが余っちゃう』 『そうねぇ、ならこうしましょう。私とマーちゃんとヤヨイちゃんで手を繋いで、3人でバラカスの背中に乗るの。それなら楽ちんよ』 『あ、それいい。パンダの毛皮はフカフカだから、みんなで座ってお喋りしてさ』 『ステキ。だったら、ふふふ。お弁当も用意した方がいいわね』
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