第二十一章 霊媒師 ……もいる、黄泉の国の話

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ドッスーーーーーーン!! 表から大きな音が聞こえてきたの。 『な、な、な、何事!?』 慌てて飛び出しウオチの外に出てみると、 『きゃー! バラカスー! しっかりしてー!』 外に倒れる巨大なパンダを、白雪ちゃんが介抱してるトコだった。 ありゃりゃ、ウチの予感が当たっちゃったよ。 芝生の上でひっくり返るバラカスの、白黒毛皮の白いトコロがほんのり赤く染まってる。 まったくもう、あまりにも分かりやすい。 パパ、白雪ちゃんの可愛い姿に一発KOされちゃったんだ。 『んも、仕方がないなぁ。ウチも手伝いに行きますか』 ……と、思ったけどやっぱりやめた。 白雪ちゃんならバラカスくらい持ち上げられる。 そのまま部屋まで運んでもらって、傍に付いててもらえばいいよ。 えへへ、ウチって親孝行な娘だな。 そろーりそろーり、 抜き足差し足、ウチはコッソリオウチに戻る。 そのすぐ後、 ふんぬっ!!!____ 白雪ちゃんの気合いの声が聞こえてきたから、きっとパパを運んでるんだ。 よし、あとは2人きりにしてあげよう。 ウチは街に出かけるよ。 ヤヨイのリボンとウチの服を視に行くの。 それと……大倉にもなにか1つ。 そうだな、カタナケースに貼れるような、可愛いシールがいいかもしれない。 ふふふ……2人の喜ぶ顔が目に浮かぶよ。 …… ………… ……………… 死者と生者と式神と。 4人は家族になったんだ。 黄泉と現世の遠距離家族。 距離はあるけどココロは近い。 ここに来るまで色んなコトがあったけど、 これからだって色んなコトがあるかもだけど、 なんでだろ? 根拠はないけど、なんとかなると思うんだ。 8年前の星の予言の通りになった。 ウチは今、幸せだ。 第二十一章 霊媒師 ……もいる、黄泉の国の話__了
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