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大袈裟に両手を広げ、ドンと来い的なアピールをした。
元気が出たのは本当だし、社長不在の今、各現場に誰を行かすか、その振り分けをユリちゃんがしてるのだ(もちろん先代の意見も聞くが、今後の為にもユリちゃんがメインで決めてる)。
なのに僕が疲れた顔をしていたら、ユリちゃん、アサインしにくくなっちゃうよ。
精一杯のアピールに、先に反応したのは先代の方だった。
『あぁん! 若いって良いねぇ! 素晴らしいねぇ! 岡村君、さっそく修行の成果が出たんじゃない? なんだかスタミナがついたみたい。ウチの三男坊がどんどん頼もしくなってくる、……もう、感無量! じゃ、さっそく現場をお願いしちゃおうかな!』
おぉ!
本当に早速だな!
でも行くよ、頑張るよ!
なんてったって僕は、褒められて伸びるタイプだからね。
先代にベタ褒めされて俄然やる気が出て来たよ!
『ユリちゃん、昨日話したアノ現場にしましょう。岡村君に ”たぶれっと” を渡してあげて』
「はい!」
元気な返事でユリちゃんが、社用タブレットを僕に手渡す。
そして、
「いつもの【依頼フォルダ】に詳細が入ってます。詳しい内容は後で確認お願いします。先に簡単な説明だけ。今回お願いしたい現場は、誰かのヘルプじゃなくて岡村さんお一人で入っていただきます。あくまで現場を視ないと分からないけど、悪霊とかはいなそうです。それから____」
……
…………
………………
____それから、
ユリちゃんから説明を聞き終えた僕は、電車に乗って現場へと向かった。
先代は、
『いい? どんな現場でも、驚かないで、怯まないで頑張ってきてね。そう、岡村君はもう新人じゃない。立派なプロの霊媒師だ。ファイトー!』
と、送り出してくれた、……のだが、この現場って……マジか……どうしよう。
大福を膝に乗せ、電車の中でタブレットを立ち上げる。
内容は……確かに悪霊とかはいなそうだな。
どちらかというと平和な感じの内容だ。
ポ現と、それから……ああ、駄目。
集中出来ない、内容が頭の中に入ってこない。
あれよあれよと言ってるうちに、今回のこの現場は完全な僕のソロプレイ……そう、とうとう独り立ちなのだ。
助けてくれる先輩はいない、なにがあっても僕一人で対処する(ウソ、大福先生がいるから僕は恵まれてるけど)。
と言った緊張があるんだけどさ、それ以上に問題なのは…………
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