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と、とりあえず喉を潤し落ち着こう。
出されたお茶はペパーミント。
爽やかな香り、スッとする清涼感、夏の暑い日には持ってこいの一杯だ。
一口飲めば気分も晴れて、リフレッシュされるんだ。
ごくごくごく、はぁぁ……おいしい。
一気に飲み終え、セルフでおかわりもう一杯。
大丈夫、飲んだらなんだか落ち着いた(早いな、プラセボ効果か?)。
そうだよ、僕は考えすぎたんだ。
確かに両親は保守的だけど、確かに特殊な仕事だけれど、キチンと話せばきっと分かってくれるはず。
それにさ、 ”霊媒師一丁!” って仕事の依頼をするくらいだもん。
胡散臭いと思ってるなら呼ばないでしょ(たぶん)。
うん! そーだ、そーだよな!
ヨーシ、カミングアウトしちゃうぞー!
「ねぇ、」
テーブルの向こう側、母さんは「ん?」と短く返事をくれた。
アウチ……いざとなると緊張するな……でも大丈夫、現場を思い出せ。
悪霊と戦うより、コッチの方がぜんぜんマシだ。
僕、ファイッ!
「あのね、こないだ電話で話したじゃない。僕の仕事は ”手に職系の専門職” だって」
「言ってたわね。具体的にどんな仕事なのって聞いたのに答えてくれなかったけど」
「あ……ごめん、うん、そうだったね。あの時は、なんて言うかその……そう、特殊な仕事だからどう説明していいか分からなかったんだ」
「あら生意気言って。私だって説明してくれたら分かるわよ」
「そ、そう? でもさ、前の会社の時、こんな仕事してるんだよって説明したけど、分かんないって言ってたじゃない」
「そ、そんなコトないわよ。確か ”通信販売” の会社だったわよね。私、服はだいたい通販だから分かるのよ」
「……母さん、 ”通信販売” の会社じゃないよ、 ”通信会社” だよ。ネット回線とかオフィス機器の販売してたの。だから婦人服は売ってないし」
「あ、あら、そうだった? ま、まぁ、似たようなもんじゃない」
「……似てない、」
「………………」
………………、親子の間で暫しの沈黙。
ちょうどその時、僕の愛しのプリンセスが『うなぁぁ……』と、ハイヒールの形で伸びをした。
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