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まっすぐに目を合わせ、改めて言ってみる……と。
「……もう、変な事言わないでよ。そんな真面目な顔、本当なのかしらって思うじゃない。あんまり親をからかうもんじゃないわ。大体ね、来てもらう霊媒師さんは女性なのよ」
「え? 女性? ……そんなコト、ユリちゃんも先代も何も言ってなかったのに」
どういう事だ?
もしかして本来の担当者は弥生さんか水渦さんだったのか?
だけど2人の都合がつかずに急遽僕になったとか?
頭に疑問符が浮かぶ中、母さんは自分のスマホを取り出すと、表示画面を僕に向けた。
なんだろうと見てみると、そこに出ていたのは……ウチの会社のホームページ、依頼申し込みの入力フォームの控えだった。
「ほら、見てみて。霊媒師の指名があればココに記入してくださいってトコ。指名ったってねぇ、誰がどんな人かなんて分からないから、紹介文を読んだのよ。この人、”大の猫好き” って書いてあるでしょう? 猫好きなら信用できるし、きなこにも優しいかなぁって、それで決めたの」
母さんの説明を聞きながら、僕は画面に釘付けになっていた。
この紹介文は確かに僕を指している、それは間違いない。
なんだけど……貼られたリンク先がオカシなコトになっている。
霊媒師の紹介ページ、前に見たのはいつだったか。
覚えちゃいないが、その時と変わってる。
僕の名前が ”岡村英海”→ ”エイミー” に改ざんされてるんだ。
うそだろ……? なんで? どうして? って……賭けてもいい、コレやったの社長だわ。
突っ込みどころが満載すぎる。
次に社長に会った時、小一時間は突っ込もうと思うけど、まず今は先にコッチをなんとかしなくちゃ。
そう、勇気を出してココまで言ったのだ。
もう一押し、ちゃんとカミングアウトをしようと思う。
僕はカバンに手を伸ばし、中からゴソゴソ自分の名刺を取り出した。
それを1枚手にとって母さんに渡す。
「あら、新しい会社の名刺? なんて会社に勤めてるの? 仕事のコトも詳しく教えてよ、…………ん? ”株式会社おくりび”……? これ、私が頼んだ祓い屋さんと同じ名前だわ……ん? ん? ……! え!? 英海! ここにあんたの名前が書いてある、【霊媒師 岡村英海】って……え? えぇ? ウソでしょ? さっき言ってたのは本当だったの? あんたの新しい仕事って……」
僕と名刺を交互に何度も、母さんは超高速で見比べている。
やっと分かってもらえたみたいだ。
最後に仕上げ、これを言えばトドメになるだろ。
「母さん、その名刺のメールアドレスのトコを良く見て。@の前、 ユーザー名が ”Amy_okamura” になってるでしょ? ”エイミー” は僕のニックネーム、会社でそう呼ばれてるの。うん、そういうコト。ホームページにあった ”大の猫好きのエイミー” 、それは僕のコトなんだ」★
言いながら、メールアドレスをグリグリすると、母さんは目を細めながらそれを見る、そして……
「あんた、……本当に霊媒師なの?」
信じられない……そんな気持ちが表情に現れていた。
★ちなみに……エイミーが会社の名刺を誠から受け取ったシーンがこの辺です。
https://estar.jp/novels/24474083/viewer?page=34&preview=1
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