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「んぁあ?(激しく声裏返る) 危険はないかって? えっと、うんと………………そ、そんなのあるはずないじゃなーい! んもー! 母さんは心配性だなぁ!」
あははははは!
僕はなんとかごまかしたくて、極力明るく笑ってみせた。
言える訳ないじゃん!
そんなん言ったら反対されるに決まってるもん!
「ん…………英海のその顔、笑い方、どうも怪しいわねぇ、」
わーお!
さすが母さん!
良い勘してるぅ!
伊達に30年も母親やってないね!←テンションおかしくなった。
「ヤダナモー! 怪しくなんかないよー! 深読みしすぎ! 難しく考えないで! 霊媒師ってユーレー相手の仕事だけどさ、ユーレーだって命はナイけど僕らと同じヒトだもん! 成仏していただくよう説得する、会話メインだね! そうだな、平たく言えば接客業と同じだよ! ノーーーープロブレェンムッ!!」
ヤバ!
焦る気持ちがバグを起こして最後の方はキーマンさんになっちゃった!
いかん、落ち着け、これじゃあますますドツボにはまる。
僕は焦りを鎮める為に、隣で眠る大福姫を撫でまわす。
ふわふわ毛皮とひんやりボディーが心地よく、気持ちがいくらか楽になった。
「ノープロブレムって……英海なんだか変わったわね、まぁいいけど……それより、接客業と同じって本当? 霊媒師ってそんな感じなの?」
お、いいぞ、良い感じに解釈してくれたっぽい。
たぶん母さんの中のイメージは、接客業=店頭販売員=ドラッグストアの店員さんという図式が成り立ってるはずだ(おそらく、きっと、そうだよね?)
母さんは近所のドラッグストアで何年もパートをしている。
仕事内容は商品の発注、品出し、レジ、それからお客様に声をかけられれば、そのたび笑顔で接客するのだ……だからそんなイメージが湧いたのだろう。
岡村めぐみ、52才。
今ではパートリーダーだ。
「そう、まさに接客業だね。僕達霊媒師は、生きている人と亡くなってる人、その両間を取り持つの。生きてる人の大半は霊の姿が視えないし声だって聞こえない。亡くなった大事な霊ともう一度話がしたい、だけど霊感がないからそれが叶わない……そんな時の為に霊媒師がいるんだよ。ね? 人の役に立つ仕事でしょう?」
話ながら、ついつい力が入ってしまう。
そんな僕の力説を、いつしか両親は身を乗り出して聞いている。
あ……いつの間にか空気が変わった。
父さんも母さんも(特に母さん)、表情がさっきよりも柔らかい。
分かってくれたのかな……?
きっと全部じゃないだろうけど、それでも、最初に比べたら大進歩だ。
もう一押し、だろうか……?
なんて事を考えて、光が見えたと僕の気持ちが上がりかけたその時だった。
リビング扉の向こうから、軋むような大きな音が聞こえたんだ。
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