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「「「 きなこーーーー! 」」」
親子3人、息がピッタリ重なった!
そりゃそーだ。
きなこと言えば岡村家のスーパーアイドル兼、天使兼、妖精兼のお嬢様。
仔猫の頃から穏やかで、撫でまわされても ”フー!” も ”シャー!” も無く、誰かをツメで引っ搔いたコトも無い、のんびりした猫なのだ。
そんなきなこのこの荒ぶり、焦った様子でダッシュでリビングまで来るなんて、お嬢が怯える謎の霊とは一体どんなヤツなんだ。
荒ぶるきなこはダッシュの途中で僕に気が付き、
「ほなななっ!」※訳:まだいた!
と鳴いて、シュタタとこちらにまっしぐら。
お正月に会った以来の再会に(今まできなこは2階で寝てた)、こんな時でも甘えに来るとかもう……きゃー! きなこカワイイー! ダイスキー!
当然僕は、両手を広げてお嬢のダイブを待っていたのだが……
シュタタタタタター!(僕に向かって走ってる)
↓
ンン? ハッ!(何かに気が付いた)
↓
キキィィー!(肉球ブレーキ音)
↓
ピタッ!(僕の手前数十センチで停止)
↓
…………(黒目真ん丸でフリーズ中)
……
…………
きなこはダイブしなかった。
お日様色の茶トラの猫は、年を取ってもふわっふわな艶の毛を、これでもかと逆立てて、本来岡村家にいるはずのない、自分以外の猫を前に固まった。
えっと……この反応。
もしかしてきなこは大福が視えるのか?
ふと湧いた疑問だったが、すぐに確信へと変わる。
きなこよりもっと年上、どシニアの猫又がユラリとアンヨを一歩前に、生きてる猫に近付いた。
とその時、きなこはよほどビックリしたのか、ピョーンとその場で垂直に飛び、着地と同時に再び固まる。
大福はそんなきなこに構う事無くズンズン近付き、ちっちゃなお鼻をスンスンさせて、同じくちっちゃなきなこの鼻にくっつけた。
ハ、ハナチュー!(猫同士のご挨拶ぅ!)
続けて数回ハナチューをして、その後は互いの匂いをスンスン嗅いで、終わる頃にはきなこの緊張はすっかり解けていた。
や、やだぁん!
僕の可愛い2匹の猫が仲良しになっちゃった!
こんなに嬉しいコトってないよ!
どっちも大好きマイエンジェル!
どちらかなんて選べない、両ニャン同じくらい好きなんだ! ……ハッ!
あぁ……そうか、こういうコトだったのか……!
僕はこの瞬間、ジャッキーさんを深く深く理解した。
弥生さんとマジョリカさん、どっちも大好き同じくらい。
そりゃあ選べる訳ないっすわっ!
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