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参ったな……今日は僕のソロデビュー、助けてくれる先輩方はココにはいない。
最初から最後まで、そう、すべて僕だけでなんとかしなくちゃいけないんだ。
出来れば穏便に済ませたい。
滅するんじゃなくてさ、話をきいてさ、納得して成仏してくれるのがベストだんだけど……妖怪に人の言葉は通じるんだろうか……?
僕はその時、マジョリカさんの現場で滅した異形のコトを思い出していた。
全身ブツブツ、霊体中に巨峰のような丸いモノを付着させ、声は出すけど『うぁぁぁああ……』しか言わないし、人の言葉を理解してる感じではなかった。
どうしよ……アレと同じタイプだったら。
カタコトでも良い、せめて簡単な意思疎通が出来れば……淡い期待を胸に抱き、試しに話かけてみるコトにした。
緊張するな、なんて話しかけようか……ん……まずは無難な線でいってみるか。
「あ、あの、……僕はこの家の息子で岡村英海と申します、」
とりあえずの自己紹介だ。
初対面だし、もし話が通じるようなら、なぜ岡村家に来たのか、なぜ大きな音を出すのか、なぜきなこを脅かすのか、その辺を聞き出したいと思ってる。
その為には最初から喧嘩腰ではダメだ。
話し合いを望むなら、相手が生者でも死者でも異形でも、まずは信頼関係を結ぶ必要がある。
だからこその自己紹介だ。
そちらが攻撃してこなければ、こちらも攻撃しませんよ、という意思表示でもあるのだが……通じただろうか……?
僕は顔をうんと上げ、斑模様の顔らしきに視線を飛ばす。
目鼻がないから表情を読む事は難しい。
僕の言葉が届いているのか、それすらも分からない。
しばらく黙って出方を伺う……が、斑模様はただそこにいるだけで、僕に攻撃はおろか、ほぼほぼ動こうともしなかった。
「……………………」
『……………………』
うぅ……沈黙が長いな。
僕からもう1度声をかけてみようか。
ただ、声をかけた所で人の言葉が通じるのか否か、それさえも分からないから、もしかしたら、まったく意味がないかもしれない。
だけどこうして、なにもしないでいても解決には向かわない。
ん……こういう時、みんなならどうするだろう?
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