第二十二章 霊媒師 岡村英海

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みんなならどうするか…… 弥生さんとジャッキーさんなら、霊の感情が目で視えるから、目視だけで悪霊かそうでないかが分かる。 話を聞くまでも無く、相手が悪い霊なら躊躇なく滅しにいくのだろう、……って、自分がソロになって初めて気付いた。 その霊力(ちから)、めちゃくちゃ便利じゃないか。 霊媒師として大幅時短が可能になるもん。 そう考えると更にスゴイのは(らん)さんだ。 だって(らん)さんの式神は、彼自身が構築(プログラミング)したジャッキーさんと社長だよ?  本物とほぼほぼ同じ霊力(ちから)があるのよ? てことはさ、式神のジャッキーさんにお願いすれば、オリジナルとおんなじように、目視だけで悪霊が視分けられるんだ。 さらに言えば野獣のような社長もいる、どんだけゴツイ悪霊が相手でも瞬殺するコト間違いなしだよ。 てか(らん)さんって、ソロの現場も実質スリーマンセルじゃん。 もしかして……ウチの会社で最強なんじゃないだろうか。 でもって水渦(みうず)さん、彼女なら……って、これは考えるまでもないか。 躊躇いなんぞ微塵も見せず、息するように霊矢を撃つに決まってる。 …………なんて。 斑模様があまりに無口で、手持ち無沙汰で色んな事を考えちゃったよ。 てか、今の所大人しい。 床も鳴らさず攻撃もしてこない。 その点は正直言って助かるけど……何度も言うが、この後はどうしたらいいだろう。 んー……ハッ! そうか、迷った時はお姫に相談! 大福にどうしたらいいか聞くんだ。 なんてったって三尾の猫又、なにかヒントをくれるかも。 「大福、」 いつもの通り、声をかけて下を視た。 お姫はいつでも隣にいるから、今だって僕の横にいるはず……っていない! えっ! どこ? どこ行ったの!? 慌ててまわりをキョロキョロすれば…………いたっ! でもって怖っ! えぇ!?   「だ、大福さん? ……なにしてるの?」 一体何を思ったのか。 大福は、廊下の壁から頭だけを出していた(ちょっとびびった)。 霊体だから出来る技、物質をすり抜ける要領で、壁の中に霊体(からだ)を隠して、ちょこんと顔だけを出しているのだ。 えっと……意味が分からない。 これは何かの遊び……かな? かな? 本ニャンに聞いてもハッキリ答えない。 アンニュイな空気を出しつつ、『うな』とも『なな』とも言わないのだ。 むぅ……謎だ……謎過ぎる。 もしかして、斑模様に動きがないから退屈になっちゃったのとか? や……でもな……なんとなくだけど、そんな感じじゃないんだよなぁ。
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