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____最初はね、目を閉じてやってみるといいよ、
____視覚から得る情報を遮断するんだ、
____その方が集中できるから、
____視たいモノが視えてくるから、
瀬山さんが教えてくれた、初心者向けの霊視のコツ。
僕はさっそく目を閉じて、大事な猫を視つける為に両の手指を絡めだす。
いいか……焦るなよ……大丈夫、何度も何度も練習したんだ。
工程は完璧なまでに覚えてる。
ただ心配なのは、霊視の印は霊矢のそれよりも長くて複雑。
うっかりでも間違えたら発動しない。
だから落ち着け、慌てないで丁寧に、やり直しにならないように。
自分自身に言い聞かせ、工程をひとつひとつ潰してく。
目を閉じて、視界を閉ざして気持ちを集中。
大福を視付けたい、大福を抱きしめたい、僕の大福、可愛い大福。
この時、僕の頭は大福でいっぱいだった。
初めて出逢ったF市の神社、あの日からあの仔と一緒に暮らしてる。
大福は丸めたアルミが大好きで、おやつは ”ちゅるー” が大好きで、茹でたささみも大好きで、出してあげれば『うにゃうにゃ』言って幸せそうにするんだよ。
可愛くて優しくて、白い毛皮がフカフカで、抱き着けばいつだって良い匂い。
僕の大事なお姫様、…………ああ、出逢ったあの日に誓ったのに。
これからずっと、お姫を大事にするからねって、そう誓ったのに。
それなのに目の前で、斑に姫をさらわれたんだ。
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