第二十二章 霊媒師 岡村英海

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ごめんね、本当にごめんね。 これじゃあ下僕失格だ。 だけど待ってて、絶対キミを視つけだすから、絶対キミを助けるから。 新たに誓いを立てたと同時、霊視の印の全工程が終了した。 間違えは……無かったと思う。 ノンミスで結びきったし、焦らず慌てず丁寧に、必死になって気持ちも込めた。 大福を視つけたい、大福を助けたい、今すぐお姫を抱きしめたいよ。 だからお願い……お願いだから視せてくれ……! 祈る気持ちで閉じた瞼に力を込めて、肉眼ではなく、霊力(ちから)でもって視える映像(モノ)を待っていた。 …… ………… ………………が、いつまでたっても視えてこない。 クソ……失敗か……? 駄目だったのか……? なんで? なにがいけないの? 印も完璧、目の奥はジンジンと熱く霊力反応も出てるんだ。 なのになんで? 大福がいなくなって僕は今、これ以上ないくらい切羽詰まっているのに。 「お願い……お願いだから発動してよ! 今の僕には霊視のスキルが必要なんだ! 大福を探したいの! 視つけたいの! 肉眼じゃ見えないモノ、目の前にあるモノじゃなくて、目に届かない所を視せてよ! お願いだから……!」 目を閉じたまま膝をつき、叫ぶように懇願した。 こうしてる間にも、大福は怖い目に遭ってるかもしれない、そう思うと焦りと辛さで涙が溢れてとまらなくって、だけど泣いてる場合じゃなくて、だから目を擦って、痛いくらいにゴシゴシ擦って、擦った、…………その時。 突然だった。 閉じた瞼の暗闇が、眩い光でいっぱいになったんだ。 僕は短い悲鳴を上げて、起きてる事を理解しようと必死になった。 だけど……無理だ、理解なんて到底出来ずにパニック寸前、いや、もうすでにパニックかもしれない。 「ど、どうなってるの…………?」 独り言ちても答えは出ないし、理解なんて出来やしない。 閉じた目を開けてみたけど景色は変わらず。 おずおずキョロキョロ辺りを視れば、上下左右の全方向、輝く光はまるでネオンか宝石だ。 今、僕の目に映る景色は眩いばかりの数多の星々____ ____そう星なんだよ(なんで!?)。 ここはまさに、テレビやネットで見た事のある……宇宙空間そのものだった。
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