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この時またもや、前に聞いた先輩霊媒師の言葉が頭に浮かんだ。
今度はジャッキーさんじゃない、水渦さんが言ってたコトだ。
あれは春。
おくりび事務所にいた日でさ、ユリちゃんが社長に「わ、わ、私と結婚するんだから!」と告白をすっ飛ばしてプロポーズをしちゃった、あの日の事だ。
会社の庭で話す2人を僕と水渦さんで霊視した時に(覗いたとも言う)言っていたのが……
____それから注意してください、
____岡村さんの目に壁は見えていないでしょうが、
____実際には存在します、
____私達は変わらず事務所内にいますので、
____庭だと思って突進すると、
____壁にぶつかりケガをします、
これだ。
そうだよ……人の恋路を覗いたあの日、僕の目には居たはずの事務所が消えて、代わり、外の景色が映ってた。
まるで本当に外にいる、そう思うくらいリアルだったんだ。
い、いかん……頭がこんがらがってきた。
落ち着け僕、そして考えろ。
もしかして……もしかしてさ、霊視……発動してるんじゃないか?
僕は手探りで身体の下のフカフカを撫ぜまわす。
やっぱり布団の感触だ……これはもう、結論が出てるじゃないか。
果てなく広がる宇宙は今、僕が霊視で視てるんだ(それにしたってなんで宇宙?)。
本当のココは6畳の僕の部屋、さっき部屋を散らかしたから、その何かにつまずきシングルベットに倒れたの。
きっとそうだ、その証拠に……僕は霊視を解除した。
簡単な言霊。
それを小さく唱えた途端……やっぱりだ!
輝く星が徐々に消え、近くに視えてた【光る道】も……あ、誰か知らない霊が楽しそうに歩いてる、ははは……アレ、僕の道じゃなかったわ。
それから数秒。
フェードアウトに宇宙が消えて、入れ替わるフェードインで現れたのは……見慣れた僕の部屋だった。
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