第二十二章 霊媒師 岡村英海

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キョロ……キョロキョロキョロ…………うん、やっぱりココは僕の部屋だ。 6畳の南向き、白い壁と白木の家具で統一された、可もなく不可もない無難な部屋。 僕……ずっとココにいたんだな。 さっきの宇宙は霊視によって視てたんだ。 そ、そうだよね? 霊視で間違いないよね? 夢とかじゃないよね?  って、あんなリアルな宇宙、夢な訳ないわ。 …………ど、どうしよ……嬉しい……! 湧き上がる喜びに、顔のニヤケが止まらない。 やっとだ、やっと視えるようになったんだ! 会社に行って早くみんなに報告したい、中村さんや(かける)君にも報告したい、したいけど……くぅ、それはまた今度! 今はなにより大福を視つけなくちゃだからね! よし……よしよしよしよしっ! 光が見えてきたーーー! 霊視スキルが発動すれば、壁の中でも天井裏でもどこだって視えるんだ! 待っててハニー! 今! すぐ! 下僕が助けにいくからーっ! シュバババババ! とはいかないけれど、シュババ、バババ、ババ、くらいの早さでもって印を結んで目を閉じた。 さっきは宇宙が視えたけど、今度はお姫の居場所が視たい。 手始めに壁の中を霊視のスキルでレントゲン!(イメージです)   目ぇ、ギューッ! & 印の工程パーフェクト!(2ターン目) 壁に手を着き「来い来い来い来い……!」と呪文のように繰り返す……と、 キラキラキラキラ____ ____閉じた瞼の暗闇が、眩い光でいっぱいになった。 「う、宇宙ーーーーっ!」 まただ! なんで! 宇宙はいいから壁の中を視せてよねっ! 僕はすかさず霊視を解除、そしてアゲイン目を閉じた。 ドンマイ、ダイジョブ、霊視スキルは習得したて。 このくらいの失敗は想定内だ。 次こそは壁の中、愛しのハニーを視つける為に、気を取り直して目を閉じた。 目ぇ、ギューッ! & 印の工程パーフェクト!(3ターン目) 壁に手を着き「次こそ次こそ今度こそ……!」と祈るように繰り返す……も、 キラキラキラキラ____ ____閉じた瞼の暗闇が、眩……え、ちょ、またかい! 「う、宇宙ーーーーっ! 地球めっちゃキレーーーー!」 だから! 行き過ぎ! そんな遠くじゃなくってさ、すぐ目の前の壁の中が視たいんだって! …… …………それから3回。 懲りずにチャレンジしたけれど、視えてきたのは宇宙だけ。 な、なんで? もっと手前が視たいのに、なんで宇宙に飛んじゃうの?
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