2366人が本棚に入れています
本棚に追加
「……………………この仔がさっきの ”斑” だったりして、」
思わず口にする……が、まさかね。
確かに模様は似てるけど、大きさが全然違うよ。
推定身長2メートル。
巨大な斑は2足歩行のおすもう体型。
対しこの仔は、推定身長……は、分かんないけど(猫背だし)、体重を推定するなら3キロから3.5キロといったところか(大福より一回り小さい)。
年は若そうだな。
毛艶もいいし、ちっちゃい歯がたまにチラリと視えるけど、それがまだまだ白くてツヤツヤ、2才前後の仔猫だろう。
てか……可愛いなぁ。
サビ色毛皮はやや長め、フワンフワンでパヤパヤしてる。
顔を埋めたら幸せメーター振り切りそうだ。
フワンフワンが(サビ)ふわっふわに(姫)くっついて……尊ーーーーい!
と、とりあえず……この仔を抱っこしてみたい!
目の前の可愛い猫に気持ち掴まれココロは踊る。
あ、でも一番好きなのは大福だからね(浮気者の発言みたいだな)。
「そっと、そーっと」
ちょっとでも嫌そうならすぐに退く。
怒ったり怖がったりも同様だ____岡村家家訓、猫を尊重せよ。
ステップ1、僕とサビは初対面。
まず、最初にすべきはご挨拶だ。
というコトで、人差し指をサビの鼻にゆっくりと近づけた。
怖がるかなって思ったけれど、それは杞憂に終わってくれて、サビは『ン?』と顔をあげ、僕の匂いをスンスン嗅いで、それで……それから……コツン。
サビ猫の鼻←→僕の指(コツン
よっしゃ!
ご挨拶クリアー!
次ぃぃぃ!
ステップ2は力を抜いた手のひらを、サビの前でヒラヒラ視せて「怖くないヨ」とアッピール。
それを視たサビ猫は、怖がるどころか手のひらに頭突きをしてくれ、ちっちゃな頭が手の中に納まった。
チャンス到来!
歓喜の声を喉で飲みこみ、平静さを装いつつの……頭撫ぜ撫ぜだっ!
サビ猫の頭←僕の手(ナゼナゼ
撫ぜ撫ぜクリアーー!
ネクストォォォ!(仕事忘れそう)
いける、これはいけるぞ……!
ステップ3は上級編。
寝ころぶサビの脇の下、そこに手を入れ抱き上げるんだ。
くれぐれも様子を視ながら、ちょっとでも怖がるようなら、すぐにベッドに降ろす所存。
サビ猫の脇の下←僕の両手をイン(冷たっ!)
『へにゃぁ?』
わぁ!
鳴き声カワイイ!
でもって ”へにゃぁ” って弱そう!
サビ猫はされるがままだった。
特に怖がる様子も視せず、僕の手により大福から剥がされた。
そしてそのまま宙に浮かんでダラリと霊体を伸ばしてる。
ふふふ、そうそう。
猫ってさ、意外と長さがあるのよね。
座っていると分からないけど(ま、寝てても分からないけど)、脇で持ち上げぷらんとさせると、にゅーんとカラダが伸びに伸び、「えっ!? 猫ってこんなに長かったの!?」と驚いちゃうの。
ユーレー猫のこの仔もおんなじ。
にゅーんと胴が伸びちゃって、後ろのアンヨも伸びちゃって、視た感じ、2倍3倍引き伸ばされて、……って、ありゃりゃ、そんなモンじゃきかないな。
もっとだよ、4倍5倍、6倍7倍、……え? ちょ、うそでしょ? まだ? まだ伸びるの?
「え、え、え、えぇぇぇぇぇぇぇ!?」
僕の身長は175センチ。
その僕が両手を上げて抱いてる猫は、伸びに伸びて伸びまくり、天井に頭が届きそうな勢いだ。
頭は天井、アンヨは床に。
今、この仔は推定全長2メートルはありそうで……
最初のコメントを投稿しよう!