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…………………………、
…………?
………………………………ぅ、ぅ、う、うわぁぁぁぁぁぁ!!
ビックリしすぎて逆にのんびりしちゃったよ!
そうだよね、僕、今、サビ猫(巨大バージョン)に食べられちゃってるよね!?
パクッて!
頭からパクッてぇぇぇぇ!!
なっ!?
なんで!?
この仔はヒトクイ猫なの!?
”ささみ” でも ”ちゅるー” でもなくヒトを食べちゃう幽霊猫なの!?
ヤバイ、ヤバイヤバイヤバイ!!
他のヒトならいざ知らず、僕のスキルは霊との物理干渉で(ry
とにかく!
このままじゃ食べられちゃう!
サビのゴハンになっちゃうよ!
出なくちゃ、サビの口から脱出しなくちゃ!
とりあえずは出来る事から、そう思って暴れてみた。
両手両足バタバタさせて、口から出ようとしたんだけど…………クソッ!
出られない、斑の口は少しの隙間があるだけで、貝のように閉じている。
巨大化した幽霊猫(斑)の口の中……という特殊すぎる環境は、僕の視界を丸々と奪っていた。
ついでに言うなら音もすこぶる聞こえづらい、……にも関わらず小さな音で聞こえてきたのが、
『に゛ゃっ!! に゛ゃっ!!』
大福の声だった。
ああ……まただ、あの仔はまた、僕を助けようとしてるんだ。
それに気付いたのと同時。
頭の中に、白い毛皮がチリチリ焼けた大福の姿が浮んだ。
W県の修行の時だ、長から僕を助ける為に、あの子はいくつも火傷を負った。
毛皮だけじゃない、地肌まで焼けてしまって赤黒くなっていたじゃないか。
駄目だ……早く口から脱出しないと、姫がまた無茶をする!
僕は頭を食べられたまま、さっきよりもっともっと暴れたんだ。
どうにかして口から出ようと必死になった。
めちゃくちゃに振り上げる手と足が、斑の霊体に何発かヒットした。
頼む……口を開けてくれ……!
切に願ったその直後、斑模様の大きな口は……
はむはむはむはむ、
僕の首とか頭とか、唇だけで甘噛むみたいに ”はむはむ” し出した。
こ、これはチャンス!
はむはむするたび小さくだけど、口が開いたり閉じたりしてる!
これでなんとか脱出しようと、タイミングを見計らう……が、開くと言ってもぱかーんと大きく開くでなし、無理に出れば猫の歯で怪我をする。
ああ……やっぱりダメがと落胆したが、ここでひとつひらめいた。
どうして忘れてたんだ、猫の口を簡単に開かせる方法があるじゃないか!
僕は両手を高く上げ、手探りで、斑の口の両端に手を添えた。
そしてそのまま躊躇う事なく、思いっきり力を……込める!
グッッ!!←斑の口角を両手で力一杯押した。
すると…………ぱっかーん!
よっしゃ開いた!!
このまましゃがめ!!
脱出成功っ!!
やった……出れた、焦った、めっちゃ焦った。
ああ…………覚えてて良かったよ。
さっきのは、嫌がる猫にクスリを飲ませる方法だ。
風邪をひいた猫を抱いて、口角を左右同時に押してあげれば簡単に開くのよね。
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