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期待度MAX、僕はもうワクワクしながら更なる続きを待っていた、……が、しかし。
『はぁはぁはぁ……へにゃ……へに……へ……』
ポテッ!
小さな猫は、突如その場に倒れてしまった。
「おはぎーーー!」 + 『うななーーー!』
顔面蒼白、僕も姫も大いに慌ててテンパった。
「うわーー!! どうしたーー! 大丈夫!? ごめん、すぐに癒しの霊力をかけたげるから! おはぎ目を開けて、お願いー!!」
両手を合わせてマッハで霊力を溜めていく、この頃チャージは早くなったと思っていたけど、焦る分だけもどかしい、早く……もっと早く溜まってくれ!
大汗掻いて霊力を溜めた。
すぐにこれをおはぎにかけてと、手をかざしたその瞬間。
『くかぁーー』
オッサンンみたいな寝息が聞こえた。
「あ、あれ? おはぎ……寝てる?」
僕と姫で倒れる毛玉を覗き込むと。
くかぁーー(スヨスヨ……)
くっかぁーー(ムチャムチャ……)
すこぶる平和な顔をして、おはぎは眠りこけていた。
もしかして……人語を話して疲れちゃったのかな? かな?
ホッとして気が抜けた、それと同時にめちゃくちゃ反省した。
僕はおはぎに無理させたんだ。
目線を移せば尻尾は1本、この仔は普通の幽霊猫で大福とは違う。
それでも、普通の猫が人の言葉を理解するというのが、どれほど凄い事なのか。
さらにはたったの一言だけど、僕の名前を確かに呼んだ。
いや……大したものだよ、さすがはウチの仔、天才だ。
それと……おはぎは僕の事、覚えてくれてたんだな。
当時の僕は幼子で、今の僕とは姿が全然違うのに、それでも気付いてくれたんだ。
「おはぎ……ありがとね」
すやすや眠る斑の猫の、小さな鼻にそっと指を着けてみた。
猫は指の匂いをスンスン嗅いで、寝ながら甘噛みをしはじめた。
可愛いな。
この仔を最初に視た時は、大きな霊体の妖怪だと思ってた。
だけど違った、おはぎはウチの仔だったんだ。
享年2才の若い猫。
尻尾は1本、普通の猫で、ちょっぴりオバカで弱くてヘナチョコ。
このスペックじゃあ、1匹だけで現世に来るのに苦労も危険もあっただろうに。
事情が知りたい。
この仔の事情を知る事が、依頼解決最短ルートに続いてるんだ。
事情を人語で聞かせてもらう……これはもうさせられない。
だから別の手段で知ろうと思う。
スヨスヨ眠るおはぎの口から、僕は指をそっと抜く……大丈夫、起こしてない。
このまましばらく寝かせておこう。
自由になった手指を絡め、僕は覚えたばかりの霊視の印を結んだ。
うまくいくかは分からないけど、いかなきゃいくまでやるしかない。
僕が今回視たいのはおはぎの過去だ。
どんな事情で現世に来たのか……おはぎ、僕に教えてね。
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