第二十二章 霊媒師 岡村英海

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◆ 霊視の印の全ての工程を結び終えた。 頭の中で「おはぎの過去が視たいです」そう何度も念じ、目を閉じて、肉眼では視えないモノが視えてくるのを待っていた。 数秒後……閉じた瞼の裏側に、眩く光る数多の光がフェードイン。 あ、ん、やっぱりそうか、ちょっとは予想したけどさ、どうしても、最初はココに来ちゃうんだ。 「まただ、宇宙ーーーーーーー!!」 閉じた目を、開けてみたけど景色は変わらず。 キョロキョロ辺りを視渡せば、上下左右の全方向、輝く光はまるでネオンか宝石だ。 「ん、そうね、この景色もちょっとは慣れたけどさ。どうしていちいち宇宙(ここ)に来ちゃうんだろ。今度先代に聞いてみよっと。とにかく、僕はおはぎの過去が知りたいの。視る為の出発点が宇宙だろうとどこだろうと、今は視ればそれでいいや。 ____ね、おはぎ」 言いながら……脳内で生み出した、抱っこのおはぎを下に降ろした。 小さなおはぎは僕を視上げて『へにゃ』と鳴くと、跳ねるように走り出す。 長い一尾がクルクル回って、それがなんだかプロペラみたい。 僕はその後ろを軽いランニングで追いかけたのだが、さっきよりは楽ちんだ。 おはぎの走るスピードは大福よりは遅いのだ。(そうは言っても早いっちゃー早いけど)。 煌めく星を楽しむ余裕があるくらい。 どこまで行っても星が途切れる事はく、赤青黄色に緑に紫、果ての果てまでキラキラだ。 しばらく僕は、宇宙ランナーと化していた、……のだが、ココでおはぎが立ち止まり、宙に浮いた四つ足を踏ん張るように固定した……って、キタコレ! 大福の時とおんなじだ。 頭の中でこしらえた可愛いおはぎ。 想像の賜物をひたすら走って追いかけてたけど、ココにきて、またもや勝手に意思を持って動きだす。 おはぎの可愛いオシリプロペラ。 これがクルクル高速で回りだし、宇宙なのに強い風が吹き荒れた。 その風は宝石みたいな星を巻き上げ、豪奢な竜巻に進化する。 竜巻は僕の髪をこれでもかとかき混ぜて、前髪がチクチク目に入りこむ。 イテテと数瞬目を閉じて、それで、次にもう1度開けた時、そこに視たのは……
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