第二十二章 霊媒師 岡村英海

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「く、熊手!? デカッ!」 ”宇宙専用大きな熊手” 、というのがあるのなら、目の前のコレで間違いない。 突如現れた巨大な熊手は飛行機くらいの大きさだ。 その熊手があっちをザザー、こっちをザザー、まるで枯れ葉を集めるみたいに星の欠片を集めだす。 その間、プロペラは景気よく回り続けて、おはぎはすこぶるゴキゲンだった。 なんじゃこりゃ……呆気にとられてポカンとしながら、集まる欠片を眺めていると、いつしかそれは一ヶ所に集まりだして、”赤・橙・黃・緑・青・藍・紫” 、この順番で横一列に並んだの。 で、 クルクルクルクルクルクル……ブオンッ!! プロペラが派手な音を鳴らした瞬間、カラフルな星の欠片がより強く発光し、弧を描いてうんと果てまで伸びたんだ。 「えぇ!?………………えっと……えっと……これってば……虹? 知らなかった……虹ってこうやってできるんだな、」 僕とおはぎの足元には大きな虹の起点があった。 おはぎのオシリのプロペラは今は止まり、リズムをとって左右にゆっくり動いてる。 で、で、 『へにゃあん』 とっとと歩くおはぎが僕に振り向き、着いて来いと言ったんだ。 「これを渡るの?」 聞けばコクコク頷いて、虹の起点にアンヨを乗せる幽霊猫。 「そっか……この先に何かがあるんだね? 分かった、行こう。“虹の橋” を一緒に渡ろう、」 『へにゃっ!』 元気に答えるおはぎの後ろ。 眩く光る虹の橋を、僕はテクテク歩き出したのだ。
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