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それから……日が暮れて、辺り一面橙色に染まるまで、日向ぼっこは続いたの。
おはぎ達はうつらうつらと船を漕ぎ、僕はそれを、ただただ幸せな気持ちで眺めていたのだが……ココでおはぎがようやく目を覚ましたんだ。
『……へにゃ……よく寝たな……あ、もう夕方なんだ……早いなぁ。小雪、ハム、おはぎはオウチに帰るよ。また明日ね』
”んー” と伸びをして立ち上がるおはぎ。
大福が『また明日』と返事をすると、ハムスターもモゾモゾ起き出しサビに向かって寝ぼけまなこで手を振った。
今日はこれで解散みたい……なんだけど、おはぎは今 ”オウチに帰る” と言ったよね? オウチがあるの? 誰かと一緒に住んでるの?
頭の中で3つのハテナを浮かべつつ、テテテと歩くおはぎの後ろを着いて行く。
歩きながら振り向けば、大福はハムスターを背中に乗せて、ゆっくりと歩きだすトコだった。
大福にも帰るオウチがあるのかな、あると良いな、そこはどんなオウチだろうと気になってしまう。
だけど……今はガマンだ、おはぎに集中しなくては。
……
…………
おはぎの後をテクテク歩いて着いた場所。
そこは小高い丘だった。
日は暮れて、上を視れば満天の星空が、大地を視れば遥か遠くに七色が、キラキラ煌めき夜空に橋を架けていた。
ここに……おはぎのオウチがあるのかな?
キョロキョロと視渡すも、それらしき家はない。
あるのは1本の大きな木だけ。
幹が太く、豊かな枝葉がワシャワシャと伸びている。
形からして広葉樹だ、だけど種類は分からない。
『ただいまぁ』
言いながら、太い幹を前足でチョイチョイするおはぎ。
途端、幹は金色に発光し小さなドアが出現した。
「え!? 今なにをしたの? ドアなんて無かったのに、」
不思議に思って後ろから視ていると、開いたドアからおはぎはテクテク中へと進む。
僕も慌ててその後を追ったけど、人が行くにはドアは小さく、身体を屈めて押し込んで、なんとか入れるギリギリだった。
中に入ると……わぁ、けっこう広い。
確かに幹は太かったけど、明らかにそれ以上の面積がある。
視たままの目測だけど、学校の教室が2つ分……くらいの広さは余裕であると思うんだ。
明かりは暖色、魚の形のたくさんのライトがあちこち好きに宙を泳ぐ。
床は茶色で毛足の長い絨毯が、天井には猫サイズの吊り橋が、壁にはやはり猫サイズの踏み板が、段違いにたくさん取り付けられていた。
その他にも大きくてフッカフカのクッションがいくつも転がり、毛糸の玉や長い紐……要は ”猫が喜ぶあらゆるモノが揃った部屋” となっていた。
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