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猛ダッシュでおはぎの前にやって来た三兄弟は、これまた言いたい放題騒ぎ出した。
『はにゃっ! また小雪のトコロかよ!』←茶々丸、テレビで見るチンピラさん風にズィッと迫る。
『ひにゃっ! 小雪ってさ、ずーーーーっとココにいるんだってな!』←キジ丸、”オラオラオラー!” てな感じにオラつきまくり。
『ふにゃっ! もうナンジュウネンもココにいるのに迎えが来ないんだって!』←サバ丸、悪そうな顔でニヤニヤ笑う。
ちょっと……そんな言い方はないんじゃないの?
3匹のイジワルともとれる発言に僕が眉を寄せていると、反論しかけたおはぎよりも早く、サンが愛の鉄拳を食らわせた。
ペチッ! ペチッ! ペチッ!!
『あんた達、なんでそんなイジワル言うの! 小雪さんの迎えがまだ来ないのは良い事なの! それだけ主さんが長生きしてる証拠だもの。いつかそのうち来るわ。だって聞いた事があるのよ、小雪さんの主さんはとっても優しいお姉さんなんだって。そんな主さんが来ないはずないじゃない』
おぉ!
サンって思った百倍大人じゃないか!
さすがだな、僕よりよっぽどしっかりしてると感心してると、トラの仔達が声を大に喋り出す。
『はにゃっ! それにしたって遅いよ! もしかしたらお迎え来ないかもにゃ! でもダイジョブ! その時はオレ達と一緒にいればいいにゃ!』←茶々丸はフンッと仰け反り得意顔。一緒にって……あーもう、そういうコト言い出しちゃうのは反則だ。
『ひにゃっ! んだな! ウチの父さんも母さんも優しいから! 1匹くらい増えたって何も言わないにゃ!』←キジ丸もオラつきフェイスで大威張り。んもーキジ、おまえもか。そして岡村家をよく分かってる。
『ふにゃっ! だったらハムスターも一緒に来るにゃ! 猫じゃないけどダイジョブにゃ! バレないにゃ!』←サバ丸……薄々は分かっていたけど、キミもけっこうオバカだな(だがそれが良い)。バレるに決まってるでしょ、猫とハム、ぜんぜん視た目が違うでしょうよ。でもま、ハムが来るのも大歓迎さ。
ぷっ!
堪えきれずに笑ってしまった。
トラの仔達は口は悪いがやっぱりウチの仔。
なんだかんだと優しい仔達だ。
迎えがなければ岡村家に受け入れる、そう言っているのだから。
……
…………
独り言ちて笑った後、僕は少し考え込んだ。
ココに来て、 大福を視て、その時から胸の奥はモヤモヤとくすぶっている。
サンは言ってた。
____小雪さんの主さんはとっても優しいお姉さんなんだって、
____そんな主さんが来ないはずないじゃない、
大福が……小雪ちゃんだった頃の飼い主さんは女性なんだな。
主さんは優しい人で、大福はずっとずっとココで迎えを待っている。
それなのに今現在、リアルで姫と一緒にいるのは僕なんだ。
主さん、どうしたんだろう?
大福に、一体なにがあったのだろう……?
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