第二十二章 霊媒師 岡村英海

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大福とハムスターがいなくなってから、おはぎは考え込む事が多くなっていた。 朝起きて、岡村家の猫達はそれぞれ好きに時間を過ごす。 おはぎもそれはおんなじだけど、心ここにあらず、猫もハムもいない広場に惰性のように通っていた。 僕はそんなおはぎが心配でならなかった。 小さなサビは、小川の綺麗なお水を飲んではため息をもらし、高い空を視上げてる。 大福の事を想っているのだろうか、それともハムスターの事だろうか、……おそらく、その両方なのだろう。 その日は、とにかくぼんやりしてた。 芝生の上に霊体(からだ)を丸めて、まわりで遊ぶ動物達を、流すように視続けていたのだが……そこにニョロニョロとニンジン色した長い蛇がやってきた。 ん? あれ? んー? この子……どこかで視たと思ったら、こないだの子だ。 小さなカエルにジト目で視られてタジタジになってた蛇ちゃんだよ。 蛇ちゃんは気が弱いのか、丸まるおはぎを前にしながら中々話しかけられずモジモジしていた。 そして……やっとのコトで勇気が出たのか、小さな声で控え目にこう言ったんだ。 『こ、こんにちは、おはぎ。さ、最近元気ないね、小雪とハムがいなくなって寂しくなっちゃったの?』 あ……この子、おはぎを心配してくれてるんだ。 聞かれたおはぎはノソノソと頭を持ち上げ、 『……うん、寂しくなっちゃったの、』 答えながら息を吐いた。 『あ……そ、そっか、そうだよね、寂しいに決まってるよね、えっと、ごめん、当たり前のコト聞いちゃった。あ、あのね、寂しいならボクと一緒にあそばない? も、もちろんイヤじゃなければだけど……ニョロニョロ』
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