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…
……
……ば……
………………ばば……
……………………ばばば……
ばばばば…………………ばばばばb
『にゃばばばばばばばばばばばばばばばば!!』
ゴウゥゥゥン!! ←謎の ”矢印” が減速しだした音、
プッシューーーーーー!! ←同じく ”矢印” が停止した音、
『へにゃーーーーーーーーん!!!』←おはぎ絶叫、
ポテッ、←おはぎ頑張った、だけど限界、”矢印”から落ちた、
あぁっ!!
おはぎっ!!
ダイジョブかーーー!? ←僕の絶叫3点セット、
長い長いトンネルのような一本道。
薄暗く視界もすこぶる悪い中、謎の赤い ”矢印” は、”虹の橋のふもと” から現世まで休み事なく一気に飛んだ。
時間にすれはおそらく数分なんだけど、 ”矢印” に爪だけでしがみついてたおはぎにしたら、その数分は数時間に匹敵したに違いない。
”矢印” からポテッと落ちた小さな猫は、地面に可愛いオシリをつけてへたり込んでいた。
視た感じ疲労感は否めないが、とりあえず大きなケガはなさそうだ。
良かったーーー!
で、 ”矢印” はというと。
宙に浮いてゆっくりと、180度クルリと回り、ゴウッ! と短く最後に鳴らして霧のように姿を消した。
同時、トンネルもどきが飛散して、代わり、辺りは明るくなって、人工的な建物やら道路やらが現れた。
ココは……現世だよな……場所は……地域は分からないけど……神社だ。
すぐ目の前には大きな赤い鳥居があって、足元には石畳の参道が、参道脇には手水舎が、それらを囲む背の高い針葉樹は瑞々しい葉を茂らせている。
そういえば、大福に初めて会ったのも神社だったよな……と、一瞬思い出に浸ったものの、おはぎの不安そうなか細い声に引き戻された。
小さな猫はいまだ地面にへたり込み、まわりをキョロキョロ視渡して、
『……へ、へにゃ……現世……着いたの……だ、だけど……ココ……どこ……?』
今にも泣き出しそうに顔を歪めていた。
ああ……そうだよな、岡村家の歴代の猫達は完全室内飼いを徹底してきた。
ゆえに外の世界を知らないのだ。
いきなり外に放り出されて、おはぎは怖そうに震えてる。
かわいそうに……出来る事なら今すぐ抱っこで保護してあげたい。
だけどココは過去の世界でそれがどうにも叶わないんだ、おはぎ……ごめんね……
それにしても……ココは一体どこなんだろう?
神社であるのは間違いないけど、知らない神社だ。
鳥居はけっこう大きいけれど、本殿までの距離は短め、参拝者はほとんどいない。
どこかの地元の小さな神社……なのだろうけど、ココから岡村家までどのくらいの距離があるのか見当がつかない。
……
…………
おはぎはグズグズ鼻をすすっていた。
それでもなんとか立ち上がり、歩きだそうと片足上げて、だけど動けずそのまま降ろして石のように固まった。
それを何度も繰り返す、繰り返すたび肩がプルプル震え出す。
『へ……へにゃ……ドッチに行けはいいの……? トウとカアはどこにいるの……? わかんない……わかんないよぉ……』
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