第二十二章 霊媒師 岡村英海

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話の途中の雷神号におはぎが振り向く。 そして…… 『お、おはぎのオウチ……? んと……んと……それがね、どこだか分かんないの』 恥ずかしそうにおはぎが言った。 それを聞いた雷神号は、警察犬にあるまじきお間抜けな顔で…… 『……へ?』 と一言固まった。 『えへ、……えへへへ、あのね、おはぎね、ここがどこだか分からないし、オウチの場所も分からなくて、……だから、とりあえず真っすぐ行ってみようかにゃって思ってて……』 おはぎはますます恥ずかしそうにモジモジしだす。 犬の警察官は呆気にとられ、迷子の猫に半ギレで近付いた。 『なにを言ってるんだ! 現世は広いんだぞ! そんな当てずっぽうで家に帰れる訳がないだろう! 危険だ……危険すぎる……ああ……こういう子供は手厚い保護が必要だ……!』 あ、雷神号、僕と同意見じゃないですか。 なんて思っていると、警察犬は黒い鼻を迷子に寄せてフゴフゴ匂いを嗅ぎだしたんだ。 『へにゃ! へにゃはははは! くすぐったいにゃー!』 お気楽迷子が、身を捩ってゲラゲラ笑った数十秒後。 『よし、これで匂いは覚えた。あとは探しだすだけだ。おはぎ、私が家まで送るから一緒に行くぞ』 ”キリリ” どころじゃない。 捜索モードに切り替わった警察犬は、ドキッとするほど精悍な顔つきだ(ヤバイ、僕が惚れそう)。 『へにゃ! らいちゃん、おはぎのオウチ知ってるの!? すごいにゃー!』 チガウ、そうじゃない。 思わず笑ってしまったけれど……そうか……そうだったんだ。 雷神号がおはぎを送ってくれたんだ。 もし、この出会いがなかったら、おはぎは今でも迷子のままであっただろう。 ああもう……! 感謝してもし足りない、本当に本当にありがとーーー! 『おはぎ、私の背中に乗れ』 優秀過ぎる警察犬は迷子を軽々背中に乗せて、覚えた匂いを手掛かりに歩き出した……3日後。 とうとうやった、やり遂げた。 雷神号は、海がキレイで大仏が有名な、K県K市にある岡村家を探し当ててくれたのだ!(雷神号すっごーーーい!)。
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