第二十二章 霊媒師 岡村英海

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その日の晩から。 おはぎの【トウとカアに気づいてもらうにゃ祭り】が始まった。 コンちゃんのキラキラウロコで巨大化したまま、朝も昼も夜も、時間なんて関係なしにドンドコドンドコ、ひたすら騒ぎまくるのだ。 てかウロコの使い方。 コンちゃんは、 ____これを使えばちょっとだけ変身出来るの、 ____霊体(からだ)をね、大きく視せる事が出来るんだ、 ____もしも現世で悪い霊に捕まりそうになったら、 ____大きくなってビックリさせて、その間に逃げればいいよ、 って、言ってたよねぇ。 使い方間違ってるから、違うから、そうじゃないから。 本来なら現世に着いて早々、おはぎを襲った悪い霊(おじさん)にこそ使うべきだったんだけど……ま、そんな余裕はなかったか、なかったよね、あんなん無理だわ、雷神号が来てくれて良かったー! 使い方は間違ってるけど、おはぎはこれを最大限利用した。 眠くなって寝ちゃう以外の起きてる間、父さん達にまとわりついてひたすら音を鳴らすのだ。 ドンドコドコドコ一生懸命、ココにいるよと伝える為に。 だが____ 悲しいかな、おはぎの努力は一向に実のらなかった。 父さん達は音を聞くたび怖がって、最低限の食事とお風呂を済ませたら、2階に上がって布団をかぶって寝てしまう。 そうなると当然、おはぎも後を追いかけるのだか、巨大化した仮の霊体(からだ)じゃ、うまく階段が上れない。 バランスを取りながら、ゆっくりゆっくり足を上げ、引きずるように上るんだけど…… 『よいしょ、よいしょ、へにゃぁ……カラダが大きいから動きにくいにゃぁ、階段はむずかしいのにゃぁ』 と、僕からしたら鼻血が出るよなカワユさだけど、2階の部屋で音だけ聞いてる父さん達は…… ズズズ……ズズ……ズズズズズ……ズッ、ズッ……ズズズ…… と、不気味さマックス、ガチガクブルで泣きが入ってしまうのだ。 ああもう……なんてこった。 これはもう、すればするほど逆効果の平行線。 賭けても良い、このままじゃあ100年経っても気づかれないよ。 んでもってニンジン色のキラキラウロコ。 ちっこいおはぎを巨大化させちゃう不思議なアイテムなんだけど、視てるとどうやらこれ1枚で変化(へんげ)はきっかり一週間。 巨大な姿を保っていらいれるみたいなの。 最初の一週間、おはぎはただひたすらに騒がしかった。 次の一週間、なんとおはぎはテレビのリモコンをテーブルから落下させる事に成功!(壁や床を激しく叩いたその振動で落ちた) すごいな、巨大な霊体(からだ)に少し慣れてきたみたい。 とは言え階段は不得意みたいで、ズズズ……ズズズと引きずってるけど、それでもすごい進歩だよ。 変な所で感心しちゃう僕だけど、父さん達はいよいよ追い詰められていた。 連日の睡眠不足、それときなこも巨大なおはぎにびびってる。
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