第二十二章 霊媒師 岡村英海

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そして検索。 検索ワードは【足音】【家の中】【誰もいない】【どうすれば?】。 最初は手探り。 オバケだが幽霊だが、正体不明の謎現象をどこに相談していいか分からない。 まず調べたのは固い所でお寺と神社……なんだけど、書いてあるのは厄払いとかお炊き上げとか、そんなのばかり(そりゃそうだ)。 足音とかリモコン落下に対応はしていない。 それでも挫けず検索ワードを変えながら、延々リンクを踏んで飛んで、巡り巡って最終的に奇跡が起きた。 そう、”株式会社おくりび”、ウチの会社に辿り着いたのだ。 「ここなんか良さそう……」 父さんは次の日も仕事だというのに、夜遅くまでネットを閲覧。 おくりびのホームページ、依頼事例、口コミ……そういったのを熱心に読みふけっていたのだが、時計の針が0時を過ぎた頃、たっぷり眠ってHP(ヒットポイント)フル満タンな、おはぎがドチドチやってきて、ドンドコドンドコやりだしたのだ。 ビックゥ!! 久しぶりに音を聞いた父さんは、身体を震わせキョロキョロしたが、すぐに顔を引き締めて、パソコン画面に目線を戻した。 …… ………… 次の日。 ほぼほぼ徹夜の父さんは、ウチの会社のホームページを隅から隅まで読みつくしていた。 そしてかすかに頷くと、朝一番で長文の相談メールを送ったのだ。 返事は早かった。 送信したのは朝の6時30分、返事が来たのはそれから僅か1時間後の事だった。 始業時間前に返事が来たのは驚きだけど、たぶんこの日、ユリちゃんは早出をしてたのだろうと推測。 たぶんアレだよ、会社の結界。 早く来て、蔦に電気を流してたんだ。 メールの中身は親切丁寧。 専門用語はまったくなくて、素人にも分かりやすく、料金も濁す事なく明確に記してあった。 そのメールを父さんと母さんは顔を寄せ合い熟読した。 そして数回読み直したあと、どちらかともなく言ったんだ。 おくりびさんにお願いしてみようか……と。
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