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ズズズ……ガンッ! へにゃ!
ズズズズ……ガガンッ! へっにゃー!
ああもう、ココが過去じゃなかったら、今すぐ僕が助けるのに。
出来ないのがもどかしい、だからせめてと届かないけど応援したんだ。
ガンバレ! そこ! 右側ぶつかる! ああ! ダメ! もっとおなか引っ込めて! ファイィィッ!
コンちゃんのキラキラウロコで大変身のサビ猫は、身長目測2メートル、横幅も相当でパッと視はお相撲さんだ。
暗色の斑模様、全身を焦げたような黒い煙が覆って……って、これホントは猫の毛だ。
仔猫特有細くてフワフワ、それが伸びて黒い煙に視えるだけ。
『へにゃぁ(ゴンッ!)、イタイにゃ、よいしょ、よいしょ……(ズズズ……ゴンッ!)」
ああ……頑張れ、あと少しで1階に着くから頑張れ……!
どうにかこうにか時間をかけて、おはぎは1階に辿り着く。
ホッと胸を撫でおろし、ふと階段を視上げると、そこには目を真ん丸に見開いたきなこがいた。
きなこはおはぎを怖がって、だけど意を決したのか2階から転がるように駆け降りて、絶叫しながらリビングへと逃げ込んだ。
直後、
「「「きなこーーーーーーー!!」」」
岡村家の叫びのハモリが聞こえてさ、その後、過去の僕が廊下に出たと思ったら、
「なんだこりゃーーー!?」
おはぎを視て開口一発絶叫だ。
てかなにこれ……取っ散らかってる。
霊視を通して客観的に視ていると、突っ込みどころが満載だ。
過去の僕は巨大な異形にびびっているけど、そうじゃないフリをしちゃって瘦せ我慢。
おはぎは最初、僕が誰だか分からなかったみたいでさ、
『へにゃ! 誰だにゃ! トウにチョット似てるけどチガウにゃ! 弱そうなヤツだにゃ!』
初っ端から格下認定。
挙句の果てには僕を視て『……カ……カカ……カ……』と鳴いたんだ。
さっきは意味が分からなかった。
でもね、今ならワカル、これクラッキングだわ。
猫は元々ハンターだから、本能が掻き立てられると興奮しちゃって『カカカカカ』って鳴くのよね。
マジかー、僕、狩られるトコだったんじゃーん。
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