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だけどその後、
「あ、あの、……僕はこの家の息子で岡村英海と申します、」
僕が挨拶した事で、
『へ……? ヒデミ……? ヒデミって……あのヒデミ? へにゃ……?(ジロジロジロ)にゃにゃにゃ! チ、チガウにゃ、ヒデミは赤ちゃんだにゃ、こんな大きいはずがないにゃ』
ほんのりと思い出し、だけど最後は別人判定。
おはぎの中ではいまだ ”僕 = 赤ん坊” の図式が成り立ち、30過ぎた大人の僕は ”ヒデミ” じゃないと着地したのだ。
で、ココでおはぎが急に固まり、僕の横の斜め下、そこを凝視でプルプル震え出したんだ。
なにを視てるんだろ……と思ったら大福だ。
そうか、この時すでにお姫の事を視てたのか。
この時お姫はなんでか霊体を壁に隠して、カワユイ顔だけヒョコっと出してなにやら困った表情だ。
で、で、おはぎはというと。
『へにゃ……まさか……まさか……でも……あの顔……この匂い……』
かすかな声で独り言ち、少し黙ってそして、
『……キィ……キ…………キィ………………小雪ぃ』
今視れば、嬉しそうに ”小雪” と名を呼び、ギシッ!!! っと床を軋ませて、一瞬で間合いを詰めた。
『ななっ!!』
大福の慌てた声。
おはぎは姫にぶつかるように突進し、そのまま一緒に壁の中に消えてしまった。
で、で、で、我ながらガチ引きするよなテンパリぶりで、過去の僕は必死にお姫を呼んでいる。
ああ……この時は焦ったよ。
もしも姫になにかあったら、そう思ったら生きた心地がしなかった。
当の大福は、おはぎと一緒に父さん達の部屋にいたんだ。
そこで何をしてたのか、一体何を話していたのか、そこは僕の知らないトコロだ。
というコトで……せっかくの霊視だもの。
過去の僕は放っておいて、猫2匹が何を話していたのか……覗きにいっちゃうんだからねっ!
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